「one season  その3 時の声が聞こえる」
大阪府
生駒山系の某山の頂上〜尾根

25年前・・・・・
公立の青少年センターが中心となって、
ボーイスカウトや各種野外活動のリーダー、サブリーダーが
キャンプ場作るために山に入っていました。

当時、その場所は、
工事用の大型車両が入れる場所ではなかったらしく、
小型の工事車両と人海戦術で工事を行ったそうです。
炎天下の中、
草を刈り、道をならし、レンガを積み、丸太管理小屋を建て・・・・
7月20日オープンを目指しての突貫工事・・・
当然、
寝泊りはテント、お風呂はドラム缶、トイレは・・・・・。

もともと、
野営は得意なメンバーばかりだったので、
そういった環境も全然問題にはならなかったんですが、
伐採が終わり、斜面を削り平坦にして、キャンプ場らしくなった頃から
様子が変わってきたんです。

深夜・・・・・・・・、、

「おぉ〜・・・・おぉ〜・・・・」

・・・・と、地の底から声が聞こえ始めたんです。

そして、日に日にその声が大きく・・・・・
・・・・・というより、声の数が増えていくんです。

「おぉ〜・・・・おぉ〜・・・・」
「おぉ〜・・・・おぉ〜・・・・」

ついには、
キャンプ場の周りで、刀で戦う音や時の声までするようになり、

「マズイんじゃないか・・・」

・・・という声が各関係者の間で出始めたのですが、
センターでは、既に予約を開始していて、
今さら中止する事は出来なくなっていたそうなんです。

現場では不安に包まれながらも、順調に工事が進められ、
給水所、レンガ造りの炊事場、
丸太管理小屋、ウエルカムゲート・・・と次々に完成。

オープンの4〜5日前(?)にはハード面の体制が整い、
女性スタッフも参加してのキャンプ客出迎えの準備に入ったんです。

深夜の「不気味に声」については、
女性スタッフも知っていたので、少しでも恐怖が和らぐようにと
女性は管理小屋に泊まることになったそうです。
 (もちろん、男性はテントです)
しかし、
その夜は、物音ひとつしなかったそうです。

翌朝・・・・、
男性スタッフ達が、
「アノ声が収まって良かったよな」・・・・と話しているところへ
散歩に出かけていたを女性達が真っ青な顔をして
キャンプ場に駆け戻ってきたんです。

「き・・・・、樹がいっぱい切り倒されてる!!」

見に行くと・・・、
キャンプ場から頂上へ向かう林道で、
十数本の樹が、刀で「スパッー」・・・と斬ったように・・・・・

呆然とそれを見ていると、
地の底からあの声が、響いてきたんです。

「おぉ〜・・・・おぉ〜・・・・」
「おぉ〜・・・・おぉ〜・・・・」


・・・・・・・

「one season  その4 帰り道はどこぉ?」・・・・・に続く