「one season  その4 帰り道はどこぉ?」
大阪府
生駒山系の某山の頂上〜尾根

キャンプ場は、
銅像のある頂上から少し下った尾根にあり、
西側の眼下には大阪の街が広がり、
東側は2〜3m程の崖になっていて事故防止の簡単な手すり。
そして崖下は小さな池になっています。

キャンプ場への入口は西側、
入口の横には丸太の管理小屋が建っています。
北側は頂上へ向かう林道があり、
南側には物資搬入用の通路(国道に抜けられる)があります。

給水所、手洗いは、管理小屋から10m程離れた場所に、
炊事場(炉)は東側の手すりの前、向こう側(崖下)は池・・・・・。


キャンプ場オープン4日前(?)・・・昼前・・・

メンバーは、
「昼食班」と「キャンプ客への記念品製作班」の2組に別れ、
それぞれの作業にあたることになったんです。

「昼食班」は、
男女合わせて6人ほどで、
昼食の下ごしらえをしながら、
炊事場(炉)を囲んで雑談をしていたそうです。
すると、
一人の男性スタッフの後ろから・・・

「お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・」

見ると、おかっぱの小さな女の子が立っていたそうです。

「うん・・・あっ・・・あれぇ、どうしたのかなぁ・・・?」

「迷子になっちゃったの、帰る道はどっち?」

「あぁー、そこの丸太小屋の横の道を下りて行ったら・・・・、」

「ありがとー、お兄ちゃん!!」

女の子は、最後まで聞かずに走り出したそうです。

「ちょ・・・ちょっと・・・一人じゃ危ないから・・・」

・・・・と言って、
その場にいた女性スタッフが女の子を追っかけたんですが、
丸太小屋を抜けた付近で女の子を見失ったんです。
その辺りには隠れるような場所もなく見失うはずないのに・・・

彼女は、
丸太小屋の前で記念品製作をしていたスタッフ達に

「今、5〜6才の女の子が来たでしょ、どこ行ったか知ってる?」

「誰も来なかったよ」

「来なかったよ・・・って、あんた達の真ん中を通って・・・・・」

その瞬間、
彼女は気づいたんです。
その女の子が、崖の手すりの向こう側から声をかけてきた事を・・・

「あの子・・・・宙に浮いてた・・・・人間じゃ・・・・」


その時、
消防の方が、給水車でやって来たそうです。

スタッフの皆は、
これまでの出来事の全てを消防の方に説明したんです。
消防の方は、黙って話を聞いた後、

「僕は、霊とかは信じないほうなんだが・・・・・」

・・・と、言いながら
この山で過去に起きた2つの出来事について語ったそうです。
そして最後に・・・、

「女の子の捜索には、僕も参加したんだ、その女の子って・・・・」

彼が語った女の子の服装、容貌は、
昼食担当の6人のスタッフが見た・・・・・そのものだったんです。

しかし、
このことは、キャンプ場の評判に関わるということもあって、
シーズンが終わるまでは伏せておくことになったそうです。


・・・・・・・

「one season  その5 そして・・・・!?」 ・・・・・に続く