2005/05/01
「最低の仕事 その1」

皆さんが旅行をされた時、
「良い旅行だったな、次も同じ会社で・・・同じ添乗員で」
・・・と思われる時もあれば、
「二度とこの会社は使わへん、添乗員も全然アカン」
・・・と怒りを感じる事もありますよね。

実は私達添乗員(乗務員)だってそうなんです。
「ぜひ、またご一緒させて欲しい」
・・・と思うお客様もおられれば、
「こんな客、どれだけ金を積まれても絶対イヤや!」
・・・と怒りを感じる場合もあります。
場合によっては、
旅行社の信用にもかかわる場合もあって、
2度と契約しないようにブラックリスト入りって事もあるんです。

今回、私が添乗した某同業者組合は
関西でも有名なブラックリスト団体だったんです。
団体名を偽っていたので、後輩が気づかずに手配しちゃったんですが、
それに気づいたのは旅行の数日前、今更キャンセルも出来ません。
この団体、『旅行は女と酒』、『旅の恥はかき捨て』という人達で、
特に女性に対しては、『性欲のはけ口』程度にしか考えてないんです。
おまけに男性を添乗につけると暴れるという噂・・・
そこで、
急遽、私が添乗することになったんです。
(何故・・・かよわい私が・・・)

予想はしていたけど、
集合するなり、私とガイドさんのお尻を触りに来るし、
朝の挨拶をしている間も
「ねえーちゃん、胸でかいなぁ〜、触らせろよ〜」
「ねえーちゃん、男、何人知ってんねん。俺らの相手もしてくれよ〜」
・・・って罵声が飛ぶ始末。

宴会でも
コンパニオンに先述同様のセクハラ発言の連発。
私にもお酌とデュエットを強要。
まぁ〜、この程度までは我慢できるんですけど問題はその後!

急に宴会場の電気が消え、それと同時にコンパニオン達の悲鳴!
「いやぁ〜!」
「助けてぇ〜!」
「やめてくださぁ〜い!」

ビックリして、手探りでスイッチを探し、やっと電気を点けた時には
5人のコンパニオンが全員
それぞれ4〜5人の男性に手足を押さえられて、
服を脱がされながら身体を触りまくられてるんです。
ほとんど裸にされている女の子だっています。

「何やってるんですかぁー!」

私が怒鳴るのとほぼ同時に、
コンパニオンの悲鳴を聞きつけたホテルの方々が来られて、
一緒にコンパニオンを救い出したんです。

さすがの私も黙ってられなくて、

「お客様方! いくらなんでも、やって良い事と悪い事があります!
 ホテルと女の子達とコンパニオン派遣会社にも謝りに行くんで、
 代表者の方、私と一緒に来てください!!」

「何言うてんねん、ねぇ〜ちゃん、酒の上でのことやないかぁ」
「その為に女を呼んだんやろぉ」
「女も触られて喜んどったぞぉ」

「はぁ〜」(-"-)

「それに、金払ってんねんから、何しても勝手やろ!」
「それとも、ねぇーちゃんが裸になって、皆の相手してくれるんか?!」
「ほら脱げ! すぐ脱げ! 脱ぎ易いように音楽でもかけたろかぁ!」

ブチッ!! (私の堪忍袋の切れる音)

「あんたら、いい加減にしぃ〜やぁ〜!
 金払ろたら何してもエエと思ってんのかぁ〜!!
 あんたらがコンパニオンにやった事は犯罪やん!、もろレイプやん!
 あの子等が訴えたら、あんたら皆ブタ箱行きやでぇ!」

「その通りです」

ビックリして振り向くとホテルのマネージャー・・・

「まぁ、お客様も、お酒の上でのことでしょうし、
 当ホテルとしましては、その様な無粋なことは致しませんが、
 もし、女の子達が騒ぎ始めましたら、ご面倒な事に・・・。」

結局、
代表者の方と女の子達にお詫びに行くことになったんですが、
他の方々は不満タラタラで、
お膳をひっくり返し、ビールを撒き散らして暴れるんです。
すると、
マネージャーが代表者に一言
「畳の張替代、請求させていただきます。」 (ザマーミロ!)

代表者は慌てて、他の方々をなだめて部屋に帰らせてました。

実のところ、
お客様がこういう犯罪まがいの行為をしたとしても、
ホテルも女の子達も派遣会社もそして私達も
客商売の悲しさで泣寝入り・・・黙っているのが一般的なんです。
だから、
このバカ客共は味をしめて、こういう行為を繰り返してたんです。

しかし、
今回は私がキレちゃった事に、
ホテル側がうまく便乗したこともあって
こういう収め方になったんです。
まぁ、お陰で、その晩は他に問題が起こることはありませんでした。

でも
元々こういう人達ですから、
そのまま旅行が終わるなんて事はありません。
それは、
帰りのバスの中でのこと・・・・・。

次回へ続く