2009/12/01
「日本語判りません」


中国地方のある温泉郷に
全国的にも有名な老舗ホテルがあるんです。

雑誌なんかでも
サービスが素晴らしいって、よく紹介されてるだけあって、
仲居さんの人数も多く、目配りもよく出来ている・・と思ってたんですが、
中には、困ったちゃんが、やっぱりいるもので・・・。

ってなわけで、
今回の旅行で、私達の宴会場を担当してくれた仲居さんの中に
25〜6才で、肌の色が浅黒く、ホリが深い女の子がいたんです。
早い話が、
パッ・・と見た感じでは、東南アジア系の女の子といったイメージ。
何気なく名札を見てみると、

「リナ」

・・・って書いてます。

「あぁ〜、やっばりそうなんだ。 大丈夫かな?」

・・・なんて、思ってたら案の定。

本人は、とても明るくて、返事もハキハキしてて、
お客様にも絶えず笑顔で接していて、とっても良い感じなんですが、
やっぱり、日本語が微妙なんですね。

お客様の注文を間違えるし、忘れるし、
挙句は、慌ててビールを持ったまま転んじゃうし・・・
何をさせてもトンチンカンな感じなんです。
お客様が

「何やってんの?!」

・・・って、文句を云うと

「ごめんなさい、ごめんなさい、日本語、よくわからなくて、ごめんなさい」

・・・と、一生懸命謝るので、大抵のお客様は

「いや、こっちこそゴメンね、きつい言い方して。
 遠くから日本にやって来て頑張ってるのに悪かったね。」

・・・って、チップを渡しちゃうんですね。

まぁ、事情は判らないけど、
若い女の子が、1人で日本にやって来て働いているんだったら
頑張って欲しいと思うのは人情というもので・・・

とか、考えながら、
まかないに夜食のおにぎりを頼みに行くと、
仲居さん達が話をしていて、

仲居A 「理奈は、絶対、顔で得してるよねぇ〜」

仲居B 「ホント! 
      『日本語、よくわからなくて・・・』って、演技力も抜群だしね」

リナ   「だって、どうせ間違われるんだから、有効利用しないとね。」

MoMo 「えっ! リナさんって、日本人なの?!」

実は、彼女、
生粋の日本人だそうで、当然、日本語はペラペラ。
失敗は単に仕事が出来ないだけだったんです。

まっ、
知らないままが良いこともあるわけで、
お客様方には秘密にしておきました。

でも、
日本人だと思うと、ホント、使えない仲居さんでした。