2006/09/01
「マジック」


社員旅行や各種団体の懇親旅行の宴会といえば
何と言ってもカラオケが定番なんですが、
芸達者の方がおられると団体では、
ちょっとした演芸会が繰り広げられる事があります。

今回の仕事も芸達者な方が多くて
ドジョウ掬い、ハラ踊り、コント(寸劇?)・・・等々。
そして、
この手のかくし芸の中で最も人気のコレ!

そう! マジック!!

特に今回のNさんのように
上手な方がされる時の盛り上がりは、そりゃ、スゴイんですよ。
他の芸では、
皆、食事をしながら、飲みながら自分の席で観賞していたのに、
彼のマジックが始まると
皆が席を離れステージにかぶりついての大騒ぎです。

この日は
私もNさんのマジックのアシスタントってことで
ステージに立ったんですよ。
但し、
色っぽいドレスを着たり、バニーちゃんの格好はしてませんけど。

で、
マジックって
すぐ近くで・・・真横や後ろから見ていると
結構タネというかトリックが判るもんなんですよね。
おまけに皆が

「えぇー!」
「なんでぇー!」
「すげぇー!」
「えっ、どうして? どうして?」

・・・って、
驚きの声を上げているのを聞くと
自分がマジックをしているわけでもないのに
スゴク快感なんです。

「ふふん、私は全てが判っているのよぉ〜」・・・ってね。

そんな感じで他力本願な優越感に浸っていると

「最後のマジックは、MoMoちゃんにトリックを当ててもらいますね」
「へっ???」

という、
判った様な判らない様な趣向になったんです。
まず、
私もステージを降りて、他の皆さんと一緒にNさんのマジックを見て、

「えぇー!」
「なんでぇー!」

次に、
Nさんがステージから降りて、私が1人、ステージに登り、
Nさんがステージに向かって、
他の皆さんに背中を向ける形でマジックを始めるんです。
(オーケストラの指揮者みたいな感じ・・・かな?)

「あっ、そうなんやぁー」
「なるほどー」

皆が口々に感嘆の声を上げます。
そう、皆にはトリックが見えてるわけなんですね。

「どうだい? MoMoちゃん、判ったかな?」

「???」 (げっ、全然判んない)

「うん? じゃぁ、もう一回ね」

(よぉ〜し、今度こそ!)

その時、ある事に気付いたんです。
皆の目線が一点を追いかけてるんです。
そう、
無意識にトリック部分に目がいくんですね。

(よぉ〜し、これなら判るかも)

「どうだい? 今度は判ったかな?」

「えぇ〜、もう一回見たら何とか判るかもぉ〜」
(ふっ、ほとんど判ったぜ!)

「じゃぁ、これが最後だよ。判らなかったら種明かしだよ」

そして、
皆と一緒にトリックを目で追って・・・
(うっしゃぁー、完璧やぁー!)

「どう? 判った? 判らなかったら種明かしだよ。」

(あっ・・・Nさんっ、
 私が全然判らなくて、皆の前で種明かしして、
 私が『えぇー、そうなんだぁー』って悔しがってるの見て、
 皆でバカウケしようって計画なんだ・・・
 うぅ〜ん、ここはやっぱり、判らなかった振りだよなぁ〜)

「どう、判った? 判った?」(Nさん、満面の笑顔)

「えぇ〜、やっぱり判んないです」(ちょっとブリッコ風に)

その瞬間、皆が

「えぇー、MoMoちゃん、判ってるやろー」
「ズゥーと目で追ってたやないかぁー」
「判かったぁーって顔してたぞぉ」

おまけに、
手振り、身振りでトリックを教えてくれる人もいるし・・・

(ちょっとぉ〜、そんな事言わないでよぉ〜、格好つかないじゃない)

「うぅ〜ん、一生懸命見てたけど判んなくて・・」(てへっ)

結局、
判らないって事で通して、最後は種明かしとなったんですが、
ドワッと疲れてしまいました。

席に戻ってから
幹事さんが私に一言

「いやぁ〜、今日の宴会で何が一番面白かったって、
 MoMoちゃんの返答に困った顔が一番面白かったわ〜」

あのねぇ〜・・・