2006/06/01
「送別会」


私が担当させて頂いている大阪の某家電メーカーの部長さんが
この5月某日をもって退職されることとなったんです。

本当なら私などは部外者なんですが、
「辞める前にもう一度MoMoちゃんの顔が見たいしな」
・・・と、
部長から直接お電話を頂戴して、
図々しくも送別会に参加させて頂く事になったんです。

「よぉ〜、MoMoちゃん、よう来てくれたな。
 もう一回MoMoちゃんの添乗で旅行したかったなぁ〜」

そう言って笑う部長の顔を見ると
今までの思い出がブワァーってあふれてきて・・・

「なんや、また泣いてんのか。MoMoちゃん、ホンマに涙もろいなぁ」

「うっさいな、泣いてへんわ・・」

実は、
部長は5月生まれで
オマケに浪人したか落第したかの関係で同期の仲間の中では最年長
一番早い定年を迎えたんです。
ストレートで早生まれの人と比べたら2年近く早い定年になります。

部長はいつものように陽気に楽しく飲んでおられたんですが、
時折見せる表情がすごく寂しそうで、お開きの後も

「部長! もう一軒いかがですか?」・・という部下の方々の誘いに
「いや、もう帰るよ。女房が待ってるから」・・・と。

仕方なく私も
他の皆さんと一緒に部長をお見送りさせて頂いてたんですが、
気が付いたら走り出していて、後ろから部長の左手に飛びつくと

「部長! 私の行きつけの店まで付き合ってください! 
 今日は私がおごります!」

で、
無理やり引っ張って行ったにもかかわらず、
私のほうが記憶が飛ぶほど酔っ払っちゃって、
気がついたのは朝、
自分の部屋でスーツ着たままベッドの中でした。

恐る恐る部長の携帯に電話すると

「やぁ〜、MoMoちゃんか。大丈夫か? ちゃんと帰れたか?」

「あっ、はい、自分の部屋からです。」

「そりゃ良かった。随分酔っ払ってたからな。
 まさか定年の日に、
 酔っ払いの女の子をタクシーに放り込むとはなぁ〜。」

「す、すみません
 それから、えとえと、あのぉ〜・・お店とタクシーの支払いは?」

「MoMoちゃん、死んでたから私が支払っといたよ。」

「や、やっぱり・・・す、すみません。」

翌日、
菓子折りを持って、部長のお宅にお詫びに伺ったところ
素敵な奥様が一言

「いいんですよ。
 うちは男の子ばかりで女の子がいないから、
 最後の日に娘みたいな年の子と2人で飲めて・・・
 随分楽しかったみたいですよ。」

結局、お金をお返ししなかっただけでなく、
逆にご夫妻の海外旅行の手配をお任せ頂く事に・・・。

あぁ〜あ、
私って、まだまだ子供なんだな〜

ちなみに
持って行ったお菓子も
半分は私が食べてしまいました。