「念??」
神戸三宮 某ホテル
あっしゅ さんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

それは阪神大震災が起こる数年前の話しです。
神戸三宮駅にほど近い某ホテルに宿をとりました。
改札を出て徒歩○○歩と言う利便性から選んだホテルです。

渡されたキーは3階の一室のもの。
部屋に入るなり、何だかイヤな感じを与える部屋でしたが
夕食の時間間近ということもあって
荷物を置くと早々に妻を伴って街に繰り出しました。

酔いもまわって床についたのは12時、
それからどれくらい経ったたのでしょうか・・・、
突然の息苦しさに目を覚ました僕の足下を
初老の女性が行ったり来たりしているのです。
勿論
僕は金縛り状態で身動きできません。

その女性は何か深刻に考えてあぐねているようで、
入り口ドアから寝室の端まで
ゆっくりと頭を半分さげた状態で何度も何度も
行っては引き返し、また行っては引き返しをつづけるのです。

けっして
こちらに危害を加える様子はなく、
もしかすると
僕たちの存在に気づいていないのかもしれません。

正確には霊を見ているというより
かつて、ここで起きた出来事の1シーンを見ているという感じでした。
しかし、気味悪い(怖い)のも事実、
金縛りから抜け出そうと抵抗すること5〜6分、
やっと解放されると同時に女の姿も消えましたが
部屋の中にはジメッとした余韻が残ったままで
眠ることが出来ず、そのまま朝を迎えた次第です。

翌日、
廊下で会った清掃の婦人に聞こうかとも思ったのですが
僕には霊と言うより”そこに残った念”のように思えたので
尋ねる事は控えました。

まったく霊感のみじんも無い妻が帰り際、
こんなことをポツリと言いました。

「泊まった部屋で見たこともないおばさんの夢をみたわ」・・・って