「力があれば」
ramboさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

もう20年前になりますが、16のやんちゃ坊主だったころ
お化け見に行くという先輩に無理やり誘われて、
19歳の先輩を頭に4人で出かけた時のことです。

場所は神奈川のどこかだと思うのですが、はっきり分かりません?
・・・っというか
イッコク(多分、国道一号線)という言葉は聞いたような…。

なぜか吐き気とめまいが凄くて途中からボロボロ状態だったのです。
気持ち悪さが最高点に達したとき、
急ブレーキがかかりました。
その勢いで全席にしこたまぶつかって痛かったのを記憶しています。
すると
「お前ら〜ドアをロックしろ」・・・という先輩の言葉が!
あわててロックすると…
「いいか、足元を見ろ〜」・・・と震えた声でいいました。

すぐに
私が室内灯を点けたのですが、光が弱いのと色を変えていたため
何がなんだかわかりません!
助手席にいた先輩が
グローブBOXから懐中電灯を取り出すと足元にむけました!

何か黒いものが動いています!

急な眩しさでよく見えなかったのですが
数秒後にそれが人間の腕であることに気がつきました。

ボロボロになった腕が運転席のしたからごそごそと動き
先輩の左足を握っているのです。

私の目には“…藁をもつかむ”状態に見えました。
それを見た瞬間
助手席側の二人はロックを解除し一目散に逃げました。
私はというと
体が固まってしまい身動きが取れなくなってしまったのです。
気がつくと
私の足元にもごそごそ動く得体の知れないものが!

この間何分が経過したでしょうか?
突然あたりが明るくなり!
後ろからトラックがハイビームで照らしたのです!
しかし
体はまったく動かず…。
数十回のクラクションの後、
トラックの運転手が怒鳴り込んできました!
「助かった」・・・と思った時、
運転席のドアが勢いよく罵声とともに開きました!
「…………」

車内の異様な雰囲気に気づくトラックのあんちゃん!
とって返すと
何かを持って来て運転席でごそごそ???
そのとたん、体も声も何とか動くように!
ものすごい汗の量でした。
洋服でプールに飛び込んだ後みたいに。

彼は
後部座席でぐったりしている私を路上に引っ張りだしてくれました。
意識が回復してくると状況がはっきりと分かりました。
救急車のサイレンが遠くで聞こえています。
トラックのあんちゃんが無線で知らせたみたいです。

ん?先輩は??まさか???

なんとか起き上がり、運転席を見てみると…。
泡を吹いて、なにかしきりに話している先輩が居ました。
完全に頭がおかしくなってしまったようです。
逃げた二人も呆然と立ち尽くしていました。

先輩が救急車で運ばれてる最中にトラックのあんちゃんから

「お前、霊感強くて助かったな」

今日はそう、おばあちゃんのお守りを持っていたんです!
いつもなら追い払えるのに!
後にも先にも、こんなすごい力を受けたのはこの時だけです。

この話ね、すごく小さい記事だったけど、新聞に載ったんですよ!
トラックのあんちゃん、何度か経験しているんだって。
その時の先輩ですが
3年間入院して結局、完全な社会復帰は出来ていませんが
しっかりと生きていますよ!

ただ年に数回、発作的にテンカンみたいな症状になるんですって、
私も見ましたが、その時に足首に人の手形が現れるんです。
爪の跡がすさまじく、ひどい時は血が滲むそうです。
助けてあげたいけど…もっと力があれば…。