「隣の部屋」
和歌山県
Y温泉 某民宿
しかせんべさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

2002年の11月に
南紀・白浜〜Y温泉方面に旅行に行きました。
そして、
湯の峰温泉のとある民宿に宿泊したんです。
外見は少々みすぼらしかったのですが、
中は以外に綺麗で清潔に保たれており、
温泉も料理も、そしておかみさんも最高でした。

これは、
いい宿に泊まれて良かったと喜んでいたのですが・・・・。

私が泊まった部屋は、二階の階段を上がったすぐの部屋。
すぐ隣にも部屋がありましたが、
入り口にスリッパが無かったので、
誰も泊まっていないんだろうと思っていたのです。

しかし、夜11時頃、
誰も泊まっていないと思っていた隣の部屋から
男女の話声がしてきたのです。

やっぱり、誰か泊まってたんだと思って、連れに、

「やっぱり、隣も誰か泊まってるね、カップルみたいだね」

・・・って言ったら、
男女の声なんか全然聞こえないって言うんです。

あれ?・・おかしいな?・・僕にはハッキリ聞こえるのに・・・。

でも確かに、
隣の部屋の入口が開いた音も聞いてないし、
誰かが階段を上ってきた音も
私達の部屋の前の廊下を歩く音も聞こえませんでした。
その気配すら感じませんでした。

結局その時は、
どこか他の部屋の音が反響して聞こえたんじゃないかという事になり、
そのまま寝てしまいました。

そして
夜中の3時頃、
連れがトイレに行く為に扉を開けた音で目が覚めました。

あ〜、トイレに行ったなぁ・・・・。

そう思ってうつらうつらしていると
突然、鈴か何かをじゃらじゃら鳴らしている音が聞こえだしたんです。

夜中ににぎやかだな・・・・・。
どっかの客がまだ宴会しているのかな・・・・。

そう思っていたとき、いきなり、

「ガシッ!!」

・・・と両肩をつかまれた感じがしました。

そして、
話し声が聞こえた隣の部屋の方に
どんどんと引っ張られていくのです!
凄い力で後ろにぐいぐいと引っ張られていくので、
「やばい!」・・・っと思って、思いっきり右手で振りほどきまました。
すると、
バサっと布団がめくれる音がしてハッと目が覚めました。

今のはなんだったんだ・・・・?
そう思うと、なんだか恐くなって寝付けなくなって、
連れがトイレから戻ってくるまで起きて待っていました。

しばらくして
連れがトイレから帰ってきたので、
ちょっと安心して寝ることにしたのですが、実はそこからが大変でした。

もう、
とにかく金縛りの連続・・・。
少しウトウトとするとガシっと両肩をつかまれる感じがして、
その度にガバっと起きる。

その繰り返しで全然寝られません。

もういい加減、イヤになってきて、

「悪いけどあんたには何もしてやれないよ!」

・・・・と、心の中で叫んだら、
しばらくして金縛りはしなくなりました。

次の朝、
全然寝られなかった私は、
せめて顔を洗おうと思って洗面所に行きました。

そして
部屋に戻ってきたときに、
隣の部屋の扉が少し開いていることに気づいたのです。
恐る恐る中を見ると・・・・そこは物置のようでした。

あれ?・・・客室じゃなかったんだ?

おかしいなと思って、
部屋に戻ってから館内見取り図を見てみたんです。
すると、
見取り図にはしっかりと「客室」って書いてありました。

たまたま偶然、
隣の部屋は物置に変更されただけだとは思うのですが、
どう考えても位置的にも不自然な間取りです。
やっぱり過去に何かあったのかな・・・?
・・・・そう思わずには居られませんでした。