「手」
N県H村 
チキン君の投稿
(原文のまま)


これは10年程前の夏に僕の彼女が経験したお話です。

その日、
彼女はある企業のイベントの仕事で、
同じ事務所の女性Aさんと、N県白馬村のHOスキー場に行きました。

イベントが終わり、2人はその企業が手配してくれた
『ホテルH』に宿泊したそうです。

本来はツインルームにAさんと彼女の2人で宿泊する予定でした。

しかし、
Aさんはせっかくだからと旅行ついでに付いて
来た彼氏と隣の部屋を実費で取っていました。

彼女が泊まった部屋は角部屋で
ドアを開けて正面左にベットが2つ奥と手前に(枕は左側)あり、
正面右にスペースがあり、菓子やお茶の乗った机とその机を挟んで向い合って椅子が2脚ありました。
(トイレ、バス等の位置関係は省きます。)

窓は真正面と右手スペースの横にあり、
スペースの横の窓のすぐ外には小さい川が流れていました。

その夜、
彼女は奥側のベットで寝たそうです。
ちなみに彼女は布団を被って寝る派です。

寝ていると足元の方向(机等のあるスペース)から

「ピチャ、ピチャ」

という音に気付き目覚めました。
そして

「ズズー、ズズー」

と何か(足?)を引きずっている様な音に変わったそうです。

そして、
その『何か』はスペースの辺りを徘徊した後、
徐々にベットの方に近づいて来ました。
(*当然、金縛り中です。)

誰もいない隣の入り口側のベットの横に来たのが気配で分かったそうです。

「スッス、スッス」

ベットを上からなぞっている様です。
誰もいません。

そして、
遂に彼女が寝ているベットに気付きます。

その時、彼女は見付かったのがはっきり分かったそうです。
また

「ズズー、ズズー」

何故かベットを一回りして左側まで回って来ました。

「もうだめ、来る...」

と思ったその時、掛け毛布の上から

「ザワザワザワザワ」

腰の辺りから『手』の様な感覚が徐々に上がって来ます。
そしてその『手』は遂に顔にまで到達しました。

「ザワザワザワザワ」

感触を確かめている様だったそうです。

・・・違かったのでしょう。
グイッと下に押されたそうです。

そして、次に気付いたのは朝でした。

その日の朝、
Aさんにその話をしたところ、
実は隣のAさんの部屋も明け方にチャイムがなったそうです。

早すぎるけど彼女が散歩か朝食に誘いに来たのかと思い、
ドアを開けてみたところ誰もいません。
不思議に思いながらもまたベットに入った瞬間に

「ピンポーン」

また鳴ったそうです。
今度はドアスコープ越しに誰もいなかったそうです。

そして2人はあの『何か』は誰かを捜しているに
違いないと思ったそうです。

たぶん今も...

ちなみに彼女はそれから部屋を真っ暗にして寝れなくなってしまいました。