「足音」
ショーファーさんの投稿
(原文のまま)


大阪から伊勢志摩方面へは名阪国道だと遠回りになるので
いつも国道○○○号線を利用しています。

○○峠を東へ下り、三叉路を右へ逸れると一応国道なんですが、
道幅は狭く対向車との離合も困難な○○峠を通過します。

サミットには竣工十年くらいと思われる新しい短いトンネルがあり
当時は、この先の○○村の観光看板がある砂利を敷き詰めた
広場になっていてました。
(現在は不法投棄のためか?金網で閉鎖されています。)

今から五年前のことです

朝八時半、ここまで大阪から2時間位、
ちょっと疲れたので車を止め天気も良かったので窓も全開で、
その日に買った雑誌を読んでいました。

走り去る車もなく、
鳥の鳴声しか聞こえない静かな晴れた朝の時間でした。

10分位経ったその時、
後ろの方から 

ミシィ ミシィ 

・・・と砂利を踏みしめる足音が聞こえたのです

あれっ

と思いバックミラーで確認しても何も見えません

錯覚かなと思ったので気にせず雑誌を読み続けていますと
また後ろの崖の方から

ミシィ ミシィ 

・・・と砂利を踏みしめる足音が聞こえてきました。

二回目ともなると気持ち悪く、
今度は車から降りて後方を見回しましたが
誰も居ないし何もありません

気のせいと思い、無視してまた雑誌を読み続けると
また砂利を踏みしめる明らかに人の足音が聞こえてきました。

ゆっくりした足取りで・・・・・こっちに近づいてくるような

三回目ともなると、はっきり聞こえてきます・・・

ルームミラーを見て、サイドミラーを見て何も見えません。

そして、
その砂利を踏みしめるような

ミシィ ミシィ

・・・という音は、私の車の周りを回り始めたのです。

でも、窓からは誰の姿も見えません。

ミシィ ミシィ

ミシィ ミシィ


霊感の無い私ですが血の気が引くというか、
とんでもない恐ろしさを憶え
すぐにエンジンを掛け、一目散にその場から離れ峠を降りました。

後になって思うのですが、
最後まで確認すれば良かったのでしょうか?

日も高く、晴れた春の朝の奇妙な体験でした。