「自然教室」
fairyringさんの投稿
(原文のまま)


学校行事である自然教室(2泊3日)に出かけていた
中学生の娘の体験です。

行き先は某県某所の海岸で、
たくさんの民宿にクラス毎分かれての宿泊だった。

娘のクラスの民宿には数部屋の和室があるが、
娘たちのグループは、
その中でも一番広い18畳ほどで襖を閉める事によって
部屋を分けることができるような大広間だったようだ。

昼間見た、
『宿の裏手にある墓地』が少し気にはなっていたそうです。

初日のプログラムをこなし海産が並ぶ美味しい夕食を食べた後
部屋に戻り、就寝前、お決まりの『怖い話』の時間になったようで。

この類の話をしていると
霊が寄ってきやすいといいますが…
それが本当になってしまったようです。

以下は彼女の話です。


Mちゃんが少しばかり前から言葉もなく元気がなくなっているのに気づいて気にしてはいた。
話も盛り上がってきた所でMちゃんが突然

「きゃーっ!!」

・・・と絶叫した。

「ねぇ〜雰囲気出すのやめてくんない〜?」

・・・と怖さを追い払うように言った。


でも、
息が荒くなっているMちゃんを見てすぐにただごとでない事を察知した。
泣きはじめたMちゃんの口から出る言葉、それはもうMちゃんでは無かった。

「苦しい…痛い…やめて…」

まず、
Aちゃんが失神してしまったので別室に移動させた。
その後Kちゃんも失神。
そして、
Tちゃんは急に高熱が出てしまって。

どうやら代わる代わる憑依霊は体を乗り換えているようだった。

私に異変はなかったけど、
この事態をどうにかしなければと思った。

なぜなら、民宿の人は自宅に帰ってしまっているし、
先生も他の民宿にいて大人は誰もいないのだから、
私がどうにかするしかない・・・と。

憑依霊は、話を聞いて欲しいと言っている。

憑依されている子は右手を硬く握り、

「痛い…痛い…」

・・・と痛がっていたので、
多分右手にダメージを受けた人だと思った。

憑依されている時の人間は
支えていなければ崩れてしまうほど
体から力が抜けているのには驚いた。

途中危険を感じて、
先生に連絡して来てもらったがまったく信じてくれず、
呼び出した事を怒られ、ふらふらになっているMちゃんに

「立てー!」

・・・と怒鳴り
自分達でどうにかしろと言って戻ってしまった。

でも、別の生徒が聞いていた。
その先生が翌日、玄関で宿主に

「ここで何かあったんですか?」

・・・と聞いていたらしい…。


もう先生達も助けてくれないと、いよいよ覚悟を決めました。
私は彼女らの口から出る憑依霊の断片的な言葉や、
繰り返される言葉を紙に書いて繋ぎ合わせていく。
憑依霊はただただなきじゃくっていた。

「とても楽しそうだったから羨ましくて来た」

「私は○○(その場所の地名)が好きだった。
 でも家がなかったの。
 誰も私を愛してくれなかった」

「体に入れてくれる人(憑依体質の子)と
 話を聞いてくれる人(私)が揃っていたから来たかった」

私は

「そうだったんだ、辛かったね。わかったよ。
 でもね、
 この子も可哀想だから、体から出ていってくれないかな」

・・・と頼んだ。

「でも出て行ったら話を聞いてもらえない」

憑依霊がそう言ったので、話を聞いて慰めていた。
名前を尋ねたが言いたくない様子だった。

子供かと聞くと首を横に振り、女の人かと聞くとうなずきました。
しばらく話を聞いた後、再度出ていって欲しいと頼むと

「ごめんね、ごめんね、もう出るから、ごめんね」

・・・と言ってくれたので、
憑依されているMちゃんの背中に何度も十字を切ってから
下から上へと手の掌で擦り上げながら、出ていくように念じた。

除霊などもちろんやったこともない。
でも、何とかしなければこの子達が危険だと思い
お母さんとよく見ていた心霊番組を思い出して
同じようにがむしゃらにやった。

憑依霊が出てくれ、Mちゃんは失神。

その後必死に名前を呼び揺り起こすと目を覚ましたが、
憑依されている時間の記憶はまったくないらしく

「私は今どうなっていたの?」

・・・と言っていた。

長時間におよぶ憑依霊との対話はとても疲れた。

憑依されたMちゃんとKちゃんは、
その霊はポニーテールの人だったと話が一致した。