「総本山 その2」
カゲツさんの投稿
(原文のまま)


「その1」の続き


そこへ、
ガイドが顔を真っ青にして階段を駆け下りて来たんです。

自分達は、さっきの音は不審者か何かかと思い、
ガイドさんを落ち着かせて話を聞くと

「息苦しい感じがして、
 変な声が聞こえるから目を開けたら、
 ずぶ濡れの髪の長い女の人が
 運転手の上に跨り首を絞めていた。」

・・・と言うのです

友人と自分は
ガイドさんをその場に残して問題の部屋に向かいました。

襖が開いていたので中を覗くと誰も居ません。

「ガイドさんが寝ぼけて見間違えたんじゃないのか?」

・・・と友人が小声で囁いてきたので

「一応運転手さんの様子見たほうが良いんじゃない?」

・・・と自分は聞き返しました

友人と二人で運転手さんの様子を見ようと布団に近づいた時、
布団に染みが出来ているのに気が付きました。

それも、ちょうど人が馬乗りになった時の様に・・・

驚いた自分達は、
寝ている人が居るのも忘れて廊下に飛び出しました

先に出た友人が何かに足を滑らせて転んだので、
廊下の電気を付けると

それは、水に濡れた異様に長い髪の毛でした。

そして、
水に濡れた何かを引きずった様な跡が二つ、
この部屋から外へ出る扉の方まで続いています。

それを眺めていた自分に友人が、

「お、おいアレ!」

・・・と手を引っ張ってその扉の方を見るように訴えてきました

見ると、
半分ほど開いた扉の向こう側から、
髪の長い女性がこの世の者とは思えぬ形相で
此方をじっと睨んでいるのです。

その後の詳しいことは良く覚えていませんが、
気が付くと・・・

自分達はガイドさんと一緒に
事務所で毛布に包まったまま震えていました

聞いた話では、
N詰め所では水でなくなった人は居ないとの事

その後、
ネットで調べてみると、
近くのTダムは自殺の名所で
今も浮かび上がってこない死体があるとか・・・

もしかしたら、
あの時見た女性もそういった人の一人なのかもしれません