「ファームステイ」
かるかんさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)


わたしは写真屋なのですが、
ある中学校の研修旅行に同行して、
長野のある農家に泊まったときの話です。

生徒さんは班ごとに農家(ペンションっぽい)に泊まり、
私たち写真屋は先生がたや添乗員さんと同じ農家に泊まりました。

連れの後輩と二人だったのですが、部屋に入るとなぜか違和感が・・・ 
見渡してみると小振りな押入れが二つ並んでいるのですが、
どう考えても小さすぎるんですね。

で、
片方を開けると布団が入ってる普通の押入れだったのですが、
もう片方はどうやっても開きません。
扉というよりは、ハメ板といった感じでしょうか。

気にしても仕方ないので仕事し、就寝時間になりました。
布団を敷くときに壁側がよいという後輩の希望もあって、
後輩が開かずの押入れの前、
私が反対側の入口側に寝ることになりました。

後輩はとっとと寝てしまったのですが、
私は寝付けず、気づいたら深夜2時。
その時、突然、

ミシ、ミシ、ミシ・・・

畳を踏みしめるという音が後輩のほうから聞こえ、
私の枕元に誰かがしゃがみこんだ気配と風圧を感じました。
そして、
その誰かは耳もとに顔を近づけると

「なんで○○○したんだ・・・なんで○○○したんだ・・・」

と、繰り返すのです。
声の感じから中年の男性、少なくとも後輩の声ではありません。

私は怖くて後輩を呼ぼうとするのですが声が出ません。
心の中で弱々しく響くだけです。

その間もずっと耳元で中年男性が同じ言葉を繰り返し続けます。

時間にしてどれくらい経ったでしょう?
2〜3分、もしかしたら、もっと短くて30秒程度かもしれませんが、
ふいに気配も耳元にささやく声も消え、
何事も無かったかの様な静寂が訪れました。

結局、私は、恐怖で一睡もできませんでした。

翌朝、
後輩に話したら何も感じなかったとのこと。

そこで、
宿のおばちゃんに話したところ、
その部屋は、以前は仏間だったのを改装して宿泊用にし、
仏壇は他の部屋に移したとの事でした。

もしかしたら、
この家の御先祖が、
仏間を代えた事に対して不満があったのかもしれません。