「インターホン」
かなっち@千葉 さんの投稿


母が体験したお話です。

「ここ最近、夜中の2時3時頃になると
 玄関のインターホンが鳴るの気付いてる?」

お盆期間中のある日、母にそう聞かれたんです。

毎晩ぐっすり眠っているのか、
全然気付いていなかった私はびっくりしました。

我が家は母子家庭で女だけで住んでいることもあり、
母に警察に連絡するためにも
インターホンをカメラ付の物に変えたらどうかと提案しました。
(私達のマンションは電話対応のみのインターホンだったのです)

けれど、
それに対しての母の答えに私はさらに驚愕しました。

「けど、もし、ピンポンが鳴ったとき画面に何も映ってなかったら?」

そんなこと言うんです。

母が言うには、
最初は酔っ払いのイタズラかと思っていたけれど、
数日続くので気になっていたせいか、
昨夜は、インターホンが鳴らされる前に目が覚めたので
鳴るのを待ち構えていたそうです。

すると
やはりインターホンが鳴り、
母は足音を立てないよう静かに、素早く
玄関に向かい覗き穴から外の廊下を覗いたらしいのです。

・・・・でも、外には誰もいない。
それに
母が玄関に向かう間に逃げる足音も気配もしなかったとのこと。

どうしたらいいのかわからないので、
またしばらく様子を見てみようということにした次の日の朝。

昨日も呼び鈴は鳴ったか母に聞いてみると、
鳴らなかったけどもっとすごいことになったって言うんです。

なんと、
ついに枕元まで『そいつ』がやって来たって言うんです!

詳しく聞くと、
例の時刻に目覚めた母の枕元に若い男が立っていたそうなんです!
そして
その男は見覚えはなく、格子柄のお洒落なスカーフを巻いていたとか。

さらに
次の晩もその男は母の元にやってきて、
何をするでもなく立っていたそうなんです。

母は以前にも霊を見たことがあったので慌てることもなく、
3回くらい見れば慣れると笑っていました。

けれど
さすがにこのまま毎晩来られても困るということで、
母はその日近くの大きなお寺へ散歩に行き、
本堂の前で手を合わせ心の中で

「私には何もしてあげられないから、ここにつれて来てあげたよ。
 置いて行くね」

と優しく呟いたそうです。

すると・・・・

真夜中の訪問者はその晩からピタリと来なくなったのです。

「どこかで気付かないうちに拾って来ちゃったんだろうね〜」

と、母は言っていました。

そして
同じ家に住んでいる私と妹は、
彼の姿を見るどころか
インターホンの音すら聞かずに事件は終幕となったのでした。