「箱根」
神奈川県 kazuさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)


私がまだ大学生の頃、
仲の良い友達4人で、箱根に夜のドライブに行くことになりました。
当時、
私達は免許を取ったばかりで、
週末は、いつも皆で出かけていたのです。

その日、
箱根に着いたのは、午前1時30分頃。

あるカーブに差し掛かると、
凄い勢いでライトをハイビームにし、私達の車を後ろから煽る車が・・・
私は、運転してるT君に

「先に行かせた方が良いんじゃないか」

・・・と勧めたんです。
T君はすぐにブレーキを踏み、ハザードを出し路肩に車を止めました。

しかし、
すぐ後ろにいたはずの車が消えてしまったんです。
もちろん、抜かれれば判ります。

皆、車から降り、辺りを見回しましたが、
車のライト一つ見えず、エンジン音ひとつ聞こえません。

ただ、
車を停めた路肩には、最近たむけられたであろう花束がありました。


また、
別の週末、T君と2人で箱根に行った際には

「もう2時だし、そろそろ帰ろうか」

・・・と、
帰路に着いた、その時、
少し先の右側のガードレールの上に、何かがぼんやり見えたんです。

「何だ? アレ?」

車が近付くにつれ、そのぼんやりしたものがハッキリとしてきました。
何と!
それは、今までに見たことも無い様な真っ白い、肘から上の腕が2本、
ガードレールの上で

「おいで、おいで」・・・と手招きしているんです。

私は、運転してるT君が、それに気付くと、
恐怖でハンドル操作を誤るかもしれないと思い、
何も言わずにいたんですが、
白い手のガードレールを過ぎた直後、
T君が・・・、

T君 「今、ガードレールに何か見えなかったか?」
私  「い、いや。 お前、何か見たのか?」
T君 「白い腕が2本見えたんだけど・・・気のせいか・・・」
私  「そ、そうだな・・・」

私達2人は、同じものを見ていたのです。