「行進」
ramboさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)


これは学生時代の夏合宿で体験した話です。

体育会系に属していまして
その年は長野の山奥で原人に帰る地獄の夏合宿に参加していました。

引退間近の私にはそれほどキツイ合宿ではなかったのですが、
連日のハードな稽古で皆疲れ切っていました。

怒涛の一週間が過ぎ、打ち上げはなぜか肝試し???(笑)
上級生が、下級生の根性叩きなおしの為に、
心を鬼(?)にして脅かすわけです。
しかし、
この年は逆に上級生が驚くはめになりました。

始まってどれくらい経った頃でしょうか、
いきなり霧が濃くなり、視界が狭まり危険と判断

「これにて、合宿は終了!」

・・・との連絡が来た時です。

私達が宿舎に戻る道すがら、
後ろからやけに揃った大きな足音が

「アイツら、終わって本当に嬉しいんだな〜」

ざっざっざっざっ・・・・

妙に規則正しい行進!
すぐ後ろに迫っていたのですが、
気にすることもなく宿舎に向かっていました…。

そして、
それは起こりました。
私達の身体をすり抜けて、軍服を着た人達が行進していくのです。

身体が固まりました。
言いようのないい恐怖となぜか悲しみが溢れてきました。

一個小隊というのでしょうか、
30人位の規則正しい行進が、私達をすり抜け前を歩いていきます。

私達は、
身体が動かないままただ涙だけがとめどなく流れています。

しばらくして、我に返ると、
何がとも無かったような静けさが・・・

誰も一言も話さず、黙々と宿舎に向かいました。
なぜあんなに悲しかったのか?
本当に何かを考えさせられる、そんな体験でした。