「帰省」
アイナさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)


これは今年のお盆に帰省した実家で体験した不思議な出来事です。

ベッドで寝ていると、
ふと何かの気配で夜中に意識が浮上したんです。
その気配は、
寝室が並ぶ廊下を勝手知ってるような足取りで歩いていて、
私は、

「あ〜、○○かなぁ〜」

・・・と、
誰かも分かって無いくせに妙に納得していたんです。
すると、
その足音が部屋の中に入ってきて、
私の枕元までやって来て止まり、どうやら私を見つめている様子。

私は目を閉じたままだったのですが、
その視線が優しい感じがしたから不思議と怖くなかったんです。

しばらく、立ったまま私の顔を見ていたその気配は、
ゆっくりと私の顔を覗き込む体勢になって、
グッ・・・と、
その人と私の顔の距離が近づいたのが分かりました。

そこで、
何だか怖くなって、
私は初めて全身に力を込めたんですが、
身体が鉛になったみたいに動かないんです。
やがて、
上から覗き込んでる気配が、ゆっくりと、さらに近づいてきて、
そして、おでこに

「チュッ?」

・・・と、
キスされたんです。

私何故かそれで安心して、体の力を抜いちゃったんです。

その後、
その気配は、私の様子を確認して、部屋から出て行き、
廊下を進んだ所で消えてしまいました。

実は、私には、
海の事故で19歳の若さで死んだ兄がいます。
(生前は大層モテててたそうな)

なので、
毎年お盆期間中は、
海で迎え火と送り火を焚いて兄の魂を呼んでいます。
この出来事は、ちょうど送り火をする前日の夜の事でした。

無くなった兄は、
兄弟の中で一番私を可愛がってくれてた人だったので、
末っ子の私の存在が気掛かりだったのでしょうか。
しかし、
なぜ、おでこにチュッ・・・なの?

「チュッしたくなる程、イイ女に育ったっよ」

・・・と云う
兄なりの誉め方だったのでしょうか。(笑)