「引っ越し」
strike.runさんの投稿
 (投稿原稿を参考にMoMoが再構成しました)


5年前、
私が22歳・・・大学卒業の春の出来事です。

友人が就職の為に、
4年間住み慣れた下宿を引き払い、
ワンルームマンションに引っ越したんです。

そこで、
引っ越し祝いって事で、
ビールとつまみを持って遊びに行ったんです。

「へぇ〜、なかなか良い部屋だね。」

「だろぉ〜。 でも、思ったより安くてね。」

「ふぅ〜ん・・・」

で、
テレビを肴に、2人で飲み会を始めたんです。
大学時代の思い出話〜新生活、社会人としての不安や期待
話は尽きません。

「なぁ、それはそうと、この部屋、足元が少し寒くないか」

「あぁ。 
 南向きの部屋だから昼間は暖かいんだけど、
 どうも夜は冷える感じがするんだよね。」

「建物の材料なんかの問題かな」

「どうなんだろうね。」

・・・なんて話もしながら、
2人ともそのまま・・・缶ビール片手に熟睡しちゃったんです。

夜中、
午前2時を少し過ぎた頃、

「うぅ〜寒ぅ〜!」

冬の様な寒さに、私は目を覚ましたんです。
何か掛けるモノでも出してもらおうと友人の姿を探すと、
友人は、玄関から上がってすぐの下駄箱に向かって
力なく立っていて、手をブラァ〜と垂らし、
白目をむいて、何ごとかブツブツ呟いているんです。

「で・・・け・・・なぜ・・・こ・・・」

「ど、どうした! 大丈夫か?」

すると、
友人は白目のまま、私に向き直り

「出ていけ・・・なぜ、お前達はこの部屋にいるのだ。 
 出ていけーー!!」

・・・と叫び、
バタッ・・・と倒れたんです。

「だ、大丈夫か?」

私は、スグ、友人を抱き起したんです。
そして、
その時、気付いたんです。
下駄箱の天井(?)の部分に御札が何枚も貼り付けてあることに。

数日後、
友人は再び引っ越しました。
今となっては、
あの出来事が何だったのかは解りません。
でも、
あの部屋に何か因縁染みたモノがいた事だけは確かなのでしょう。