「倉庫」
三毛犬さんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)


私は10年ほど前
九州のある都市で集配の仕事をしていました。
その時に大変不思議な体験をしたのです。

それは
ある会社の倉庫にコピ―用紙を納めた時の事です。
その会社はビルの中にあり、事務所の上の階が倉庫になっています。

ある日、
私が、下の階の事務所で鍵を受け取って上にあがって行くと、
鍵が開いているのです。

いつもなら、
倉庫内に誰かが居るときは鍵を預からないので、
誰かが鍵をかけ忘れたんだな・・・と思いながら、
私はコピ―用紙を倉庫に入れ始めたんです。

でも、
このコピ―用紙の搬入がなかなか大変なんです。
というのも、
この会社の倉庫の中は通路が非常に狭く、
コピ―用紙を台車に乗せて運ぶことが出来なかったんです。

皆さんもご存じのとおり、紙というのは結構重いんです。
手で抱えて運ぶとなると、これが結構重労働なんです。

私が汗をかきかき搬入を始めると、


「大変ですね。お手伝いましょう。」

と、
年配の、人の良さそうな男性が、
倉庫の奥の方から声をかけて来たんです。

その方のお陰で、
搬入作業は思いのほか早く済ませることが出来たので、
改めて、お礼を申しあげようとしたのですが、
いつの間にか、いなくなっていて・・・

「あれ? 事務所に帰られたのかな?」

そう思いながら、
下の事務所に鍵を返しに行き、
先ほどの方にお礼をと事務所内を見渡したのですが、
それらしい男性はおられません。

その代わり、
その男性の写真が壁に飾られているのが目に留まったんです。

「あっ、すみません。その写真の方はどちらに・・・」
「この写真ですか?」
「はい。」
「亡くなられた先代の社長ですが・・・」

私は事務所の方々に、今あった出来事を話しました。
すると皆、

「先代の社長が無くなってから倉庫に居ると気配や視線を感じる」

・・・というのです。
先代の社長は倉庫が好きで
部屋にいるより倉庫で仕事をしているほうが長かったそうです。

その後は、
先代の社長と会う事もなく仕事を変わりましたが
夜遅く、そのビルの近くを通った時、
事務所の電気は消えているのに
倉庫の電気がついていることがありました。

「先代の社長、まだ仕事をしているんだな〜」