「仮眠」
桃さんの投稿
 (投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)


私が体験した 話を聞いて下さい。

ある日、
私は、友人の大型トラックに乗せてもらったんです。

荷物の積み卸しで何ヵ所か廻った頃には、
辺りは真っ暗になっていました。

私達2人は
大阪から京都北部に向かう途中、
山道のトンネルの手前でトラックを停めると仮眠をとることにしたんです。

私も友人もスグに眠りについたんですが、
しばらくすると金縛りに・・・・。

私は、同じ体勢で座っていたからだ・・・と、自分に言い聞かせ
頭の中で童謡を歌ったりしながら金縛りが解けるのを待ちました。

十数分後、金縛りは解け、
私は、また眠りに入ったんです。
その後は何事もなく、2人して帰路に着いたんです。

半月後
また同じルートで友人のトラックに乗る機会があったんです。
その日は、
友人には悪かったのですが、私は助手席で爆睡してしまい、
気がついた時には、トラックは路肩に停まっていて、
友人も仮眠をとっていました。

「ここは、どの辺りだろう?」

・・・と、
身体を起こそうとした瞬間、
私は全身が凍りつくほどの恐怖に襲われたんです。

助手席の窓に
作業着を着た五十代の男性が両手を硝子に押し当てて、
トラックの中を覗いていたんです。

男性は青白い顔をして、顔の右半分が血だらけ。
(真っ暗なはずなのに、何故かハッキリと見えたんです)
そして、

「ニタ〜ァ〜」

・・・と
笑った顔の口には、半分千切れかけた舌が見えました。

「うわぁーー!!」

友人が僕の悲鳴に飛び起き

「な、何だ? どうした?」

「ま、窓・・・窓の外」

「窓の外? 何もないぞ」

「えっ、そ、そんなはずは?? あっ、前! 前!」

先程の血だらけの男性が、
トラックの前を滑るように歩いて行き、
そして、
スゥーっと消えたのです。

友人が驚いてライトを点けると、
ライトで照らされた場所に花束が飾られていました。
その花束のあった辺りは、
前回、トラックを止めて仮眠をとった場所でした。