「あるホテルにて」
じろんさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)


僕の母の友人にFさんという人がいます。
彼女は活動的な人なのでいろいろなアルバイトを経験していました。
この話は彼女が
大分市中心街のあるホテルの清掃係をしていた時の話です。

そのホテルでは
お客がチェックアウトした後、
ワンフロアを少人数で分担して部屋の掃除をしていたそうです。

Fさんは手際よく部屋を掃除していき、ある部屋に入った時

「アラ ?? 」

・・・と思ったそうです。
というのも、
この部屋の装備一式が(ベットからカーペット)まで新品だったからです。

普通の人なら手を抜くのですが、
几帳面な彼女は手順どおり風呂の掃除からはじめました。

ユニットバスを洗っていると
背後から小さな低い男性の声で

「おはようございます。」

・・・と
声をかけられたそうです。

「おはようございます。」

彼女はそう返事をしながら振り向いたのですが、誰も居ません。

「おかしいわね? 確かに、誰かいたはずなのに??」

その日の仕事が終わった後、
同僚と雑談の際にその事を話すと
なんと
その部屋では数日前に中年の男性が自殺していたそうです。
風呂場で手首を切って・・・

このホテルでは自殺者が出ると、
その部屋の備品一式全て新品に取り替えるそうです。