「カプセルホテル」
周さんの投稿
(原文のまま)


仙台のとあるカプセルホテルでの出来事。
出張で仙台に赴いた僕は、夜の十時頃チェツクインしました。
左右の壁に四つずつ合計八個所のカプセルがありました。
僕は右側の上部のカプセルにもぐりこみました。

何処のカプセルホテルでもそうですが、
鳥の巣のようなせまっ苦しい半透明のプラステックの入り口、
1畳にも満たない枕元にある照明スイッチだけの只眠るだけの空間。

疲れてはいましたが、目が冴えていたので、
ごそごそと寝返りを打っていました。
ふと、
半透明の窓から外を覗くと、対面のカプセルも灯りが灯っていました。

『ははあ?あちらさんもご同様かな?』

と、思って眺めていますと。
ふぃに、ブイッと窓に顔が押し当てられました。
僕のように外を伺うのでもなく、
そう子供がガラスに意味も無く顔を押し当てるように

『なんだあ?何してるんだあの人?』

と僕が思っていますと、
その奇妙にガラスに押し当てられ歪んだ顔がズズッと斜めに動き
その顔の動いた跡は、まるでチョコレートで擦ったように
赤茶色の汁が付いていました。
ブイッ、ブイッと汁気のある肉を擦りつける音が続きました。
もはや、顔の形は無く赤い塊が窓を擦っているような状態でした。
五分ほどその現象が続いたかと思うと
ふいに正面のカプセル内の灯りが落ち静かになりました。

『ま、いっか・・・・・』

そのまま僕は寝床にもぐりこみ朝まで爆睡しました。
一夜開け、昨夜のカプセルを覗きこみました。
中は、きちんと整理されてありベッドメーキングもされており
人のいた気配はありません。


フロントで支払いを済ませると支配人にこう切り出しました。
『XXX号の上のカプセルってなんかあったんでしょ?』
すると、支配人さんは
『出ましたか?』
『出ました!あ、大丈夫です僕は気にもとめませんから。』
『ははあ?』
『で、何があったの?』
と聞いたのですが流石に教えてくれませんでした。