「清水の屋根から」
さいさんの投稿
 (投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)


この話は元勤め先の上司の体験談です。
ずっと忘れていたんですが、
MoMoさんの京都の清水寺の話を読んで思い出したんです。

上司が中学生の時に修学旅行で清水寺を訪れた時のことです。
境内を一通り見た後、
舞台に上がり景色を眺めていると、上から何やら音がしてきたんです。
彼がその場から屋根を見上げてみると、
なんと、

男性が一生懸命、屋根に上っているんです!

彼は目の錯覚かと思い、
目をこすり、あらためて屋根を見上げたのですが、
やはり男性が屋根に上っています。

「おい、あのおっちゃん、危ないんとちゃうんか?」

・・と
周囲の友人達に言うと友人達は

「おっちゃん??・・・どこに?」
「どこにって、ほら、そこ、屋根の上に・・・」

そう言いながら屋根を見上げた瞬間、
男が屋根の上から飛び降りたのです。
そして、
舞台の前を落ちていき地面に激突したんです。

「あー!」

上司がビックリして舞台の下に目をやると
地面に倒れた男がムクッと起き上がり、
舞台を支える柱をよじ登り、そして舞台から屋根に上っていきます。
そして、また・・・・

「おい! お前、どうしたん??」

・・・という友人達の言葉に、上司は我に返りました。

「大丈夫か? 急に叫んだらビックリするやろ!」
「い、いや、悪い、すまん。」

そう、
友人達には男の姿が見えていないのです。
説明しても、信じてもらえるとは思えないし・・・。


後日・・と言っても、
その上司が高校生になってからなんですが、
また清水寺を友人達と訪れる機会があったんだそうです。
上司は、
中学生の時に見た『男性』をふと思い出し、舞台から屋根を見上げると
やはりあの時と同じく、男性が屋根に上っていたそうです。
しかし、
今回は友人達の中にも『見える』人がいて、
「お前も見えるのか」・・・と確認しあったそうです。