「工事現場にて」
シマシマンさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)


この話は自分が大工をしていた頃、
とある薬局の解体工事を手伝った時の話です。

その現場は一階が薬局、二階が借家になっており、
二階の住人がいなくなった(というか夜逃げしたそうです!)のを機に、
薬局を建て直すために建物を解体することとなりました。

その現場で自分はとにかくついていませんでした。
金槌で指をたたくは、
古釘が手に刺さり手が腫れあがるは、
道具は壊れるは・・・。
最後には2階から落ちてきた資材が床でバウンドして顔に当たり、
怪我はするわ眼鏡のフレームが折れるわの始末。

とにかく
このままでは仕事にもならないし、
車の運転が出来ないので家に戻る事も出来ないので、
嫁さんに連絡して予備の眼鏡を届けてもらって、
仕事が終ったあと嫁さんと一緒に家に帰ったんです。

で、
家に帰り着くと嫁さんが、

「ねー、あの現場の2階には今でも誰か住んでるの?」

・・・と訪ねるので、

「いや、夜逃げして誰もいないよ。
 今日いたのは大工と水道屋と電気屋だけ。」

・・・と答えると、
しばらく間をおいて嫁さんがこう言いました。

「あの現場気を付けてね! 
 建物の2階から女の人があんたを睨んでたわよ・・・」