「ビジネスホテル」
マサさんの投稿
大阪 江坂 某ビジネスホテル
 (投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)


三年程前の事
九州から大阪に出張した際に
この江坂の某ビジネスホテルに泊まったんです。
江坂近郊は大阪梅田から地下鉄で数分と便利が良いため
ビジネスホテルが結構あるんです。

僕が通された部屋は四階の角部屋。
霊の出るような部屋は、
「入った瞬間、嫌な感じがする」・・とかよく言いますが、
そんな感じは全く無く、ごく普通のシングルの部屋でした。

自販機で買った缶ビールを飲みながらテレビを見て
床に就いたのは12時を少し回った頃でした。
軽い酔いもあって、
すぐにウトウトとし始めたのですが、

ガチャッ・・・バタン!!

・・という音に目を覚ましたんです。
音のした方に目を向けると、
ユニットバスのドアが開いているんです。
シャワーを浴びた後、
ドアをちゃんと閉めていなかったようです。
でも、
わざわざ起きていって閉めるのも面倒だな・・・
なんて考えていると、
ユニットバスの中から女性が出てきたんです。
濡れたセミロングの髪が顔にべったりと張り付いた
下着姿(キャミソール)の20代っぽい感じの女性が・・・。
その雰囲気から
その女性がひと目でこの世の者ではないことが判ります。

「まさか・・信じられん・・逃げないと・・」

しかし、
恐怖の為か霊の影響か
私の身体は金縛り状態で全く動きません。
もっとも、
部屋の外に出るにはユニットバスの前を通らないといけないので
逃げるに逃げられないのですが・・・

女性の霊は、
そんな僕の様子をしばらく見ていたのですが
「ニタァ〜」・・と不気味に微笑むと

パタッ・・パタッ・・・パタッ・・パタッ・・・

大きな足音をさせながら近寄ってきたんです。
そして
ベッドの横まで来ると
ベッドの縁を掴み、ベッドを大きくゆすり始めたのです。

ガタン・・・ガタン・・ガタン・・ガタン・・・

金縛り状態の僕にはなす術が無く、
ただただ、恐怖に慄くばかりでした。

もうダメだ・・ベッドから落ちてしまう!

「うわぁ〜」

僕が悲鳴を上げた瞬間、
ベッドの揺れは止まり女霊の姿も消えました。
ゆっくり起き上がって
部屋を見渡してみたのですが部屋は何事も無かった様子で、
しかも、ユニットバスのドアも閉まっていたんです。


翌朝、
チェックアウトしようとした時、
「ドアをガチャガチャ開けられそうになった」
・・・とフロントに文句をいってる人がいました。
フロントマネージャーは
「そんなことはないですよ」
・・・と困惑顔で対応していましたが・・・

後で聞いたのですが、
このビジネスホテルは出張ビジネスマンの間では
幽霊ホテルとして有名なんだとか。