「坂の途中」
ちゃんたさんの投稿
(投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)

はじめまして、ちゃんたと申します。
あまり怖くないのですが、私の体験を聞いて下さい。

高校2年の冬だったと思います。
時間は忘れましたが、
部活を終えた帰りには辺りはすっかり暗くなっていました。

当時、
私の学校の近所では痴漢(変質者?)が頻繁に出没していたので、
私は痴漢の多発地帯を避け帰る事にしました。
(今日は痴漢が出る・・という予感があったんです)

少し回り道をして、
いつもの通学路の登り坂の途中にある男子校まで帰ってきました。

「あら、今日は練習してないんだ」

私のいる場所から
15m程坂を上がった所の右手には野球部のグラウンドがあって、
いつもなら照明の下で遅くまで練習をしているのですが、
その日は照明も落ち、シーンとしていたんです。

何気なくグランドの方を見ながら歩いていると、
グランドの出入口に、男子生徒が1人立っているのが見えたんです。
詰襟の学生服に短い髪・・・

「ここの部員かな?・・・何してんだろ?」

そう思いながら坂を上っていくと
その男子生徒は私に気がついたのか私の方に顔を向けたんです。
そして
まるで怒っている様なスルドイ目つきで私を睨むんです。

からまれでもしたら怖いので、
私は視線を落として男子生徒の顔を見ないようにしながら、
(でも目の端ではしっかりと動きをチェックしながら・・)
彼の前を通り過ぎようとしたんです。

でも次の瞬間、
心臓がギュッと握りつぶされるかと思うほどショックを受けたんです。

なんと彼の体は
アスファルトの路面に上半身だけヌウ〜と生えていたのです。

グラウンドが道より数メートル低く造られている上に
出入口が急な下り坂になっているため、
坂を上ってきた私の角度からは足下が見えなかったのです。

「キャァー!!」

私は振向きもせず一目散に家に飛んで帰りました。

その事があって以来、
私は暗くなる前に下校するようになりました。
もし暗くなっていても
照明の落ちたグランドの前を通る事はありませんでした。