「泊まりたくない」
北海道 葉月さん投稿
(投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)

こんにちわ。
北海道でガイドをしている葉月といいます。
前回、投稿を載せて頂きありがとうございました。(第二夜63話)

今回の投稿は
私達、北海道の乗務員の間で結構有名な
「出来れば泊まりたくない宿」のひとつを紹介します。
(北海道に限らずあっちこっちにそういう宿はありますが・・・)

その宿は、
Jという温泉地(バレバレかも)の他館先・・乗務員専用の宿。
ですから、
一般のお客様はめったに泊まらない場所ですが・・・。

数年前の私の同僚の体験談です。

当時、
J温泉では市街地から少し離れると携帯電話が使えなかったため、
彼女はロビーの公衆電話から彼に電話を入れたんです。

「あっ、もしもし、うん、私・・・あのね・・・」

といった感じで楽しく話していると
ロビーと隣り合わせになっている厨房からは物音がしてきたんです。

何の音かしら・・
何か作ってるような音だけど・・・

彼女は不審に思い、
身を乗り出して厨房を覗いたんです。
すると、
男性が一人・・・何か料理をしているのです。

彼女は、
ひと目でその男性がこの世の人間でない事が判ったそうです。

夜中の12時過ぎ、
泊り客は私とドライバーのみ。
こんな時間に料理を作る必要なんか全然ありません。
それより何より、
その男性、半透明で厨房の向こう側の壁が透けて見えていたんです。

「キャー!」

彼女は電話を切ると、
一目散に自分の部屋に逃げ帰り、
数珠を片手に布団にもぐり込んだそうです。


この宿は
他にもドライバーさんが女の霊に首を絞められたり、
廊下に赤ちゃんの泣き声が夜な夜な響き渡ったり・・・
といった体験談が後を絶ちません。