「般若心経」
京都
ホテルH
Maveさん(大家@三代目さん)の投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

「金縛りにあったり出た時には般若心経が効く!」
・・・・と、
よく聞きますが、果たして本当にそうなんでしょうか?
今回の投稿は、そんな事を考えてしまう話です。

・・・・・

京都は毎年一回は行っている、私の大好き街です。
いつも泊まるのは御所の前の小さいけれどゆったりしたホテル・・・。
美味しい朝ごはんが出るし(これポイント高し)、
コンビニまで徒歩一分が魅力 (京都はコンビニが見つけにくいので)。

ところが去年、
「大文字」を観に友達といった時、その事件は起こったんです。

昼過ぎに京都に着き、ホテルHへ早めのチェックイン。
シャワーを浴び、浴衣に着替え、護摩木を収めるのに清水寺へ・・・。
大文字鑑賞は、
日航プリンセス京都の「五山の送り火ディナー」
最近は京都も大きなビルが沢山出来てしまったので、
五山の送り火が全部見れる場所は少なくなってるんです。
でも、ここはバッチリ!

・・・で、
送り火を十分堪能した後、宿泊のホテルHに戻り、
お風呂でゆっくりと疲れを取って、ベッドに入ったんです。

ウトウトし始めた時、
急に部屋の空気が「湿り気を帯びた生臭い感じ」になったかと思うと
部屋の中を大勢の人が取り巻いている様な感覚・・・
人混みの中・・・いやコンサート会場にいる様な感覚を覚えたんです。
そして、
「叫び声」とも「うめき声」ともつかない声が御所側から湧いてくると、
「ぐるり・・・ぐるり・・・ぐるり・・・」
・・・と、
私のベッドの周りを回りながら、どんどん私に近づいてくるんです。
ゆっくり・・・ゆっくり・・・でも確実に・・・。

渦巻く沢山の悲鳴・・・
男性の曇った感じの声、女性の凄まじい泣き声・・・
そして生臭い空気・・・。

私は逃げ出そうとしたのですが、全身が金縛りの状態で動けません。
枕の下に入れてある数珠に手を伸ばそうとしてもダメでした。
そこで、
必死で「般若心経」を唱えたのです

「これで大丈夫!」

・・・だと思ってたのですが、ダメだったんです。

渦巻く悲鳴やうめき声の中から、
はっきりと女性の笑い声したかと思うと、
年配の男性の声で・・・
『意味も判ぬくせに』

そして次は女性の声で嘲笑気味に
『文字を読みやれ…おかしや』

どうしよう〜・・・・と、思っていると

『あれ、かわいや』
『おう、かわいやのう』
と、先程の嘲笑とはうって変わっての笑い声、
それも私のスグ近くで。
すでに、ベッドの上に何人も座っている様な雰囲気です。

その瞬間、
私の頭の中に、京都のある神社の独特なマークが浮かんだんです。

『おぉ…こやつは堀川の加護を受けておるよ』
『かわいやのぅ…惜しいのぅ…』
『ならば、去らねばの』

と口々に話すのが聞こえたかと思うと、
ベッドからズルッ・・・と人が降りる感覚がして、

『も1人は、つまらんのぅ…』(友人の事か?)
『そなた、我の声が聞こえておろう』
『経文の意味を知りゃれ、それが大事ぞ』
『そうじゃ、それが おのれの為にもなるぞ』
『そうじゃぞ…かわいやのぅ…惜しやのぅ…』(頭を触られる感触)
『幼子のようじゃのぅ…ワの子の…』(泣き声になる)

彼らはそう言いながら
しばらくの間、ベッドの周りにいたのですが、

『とく行かねば』
『さらばぞ』
『さらば…聞こえていたら忘れるでないぞ』
『堀川に行けよの』

と、律儀に部屋のドアの方から出ていきました。
入ってきたのは御所側の窓だったのに・・・

彼らの気配が消えると同時に、金縛りが解けたので
私は飛び起きて財布の中から言われた神社のお守りを引っ張り出し
友達のベッドに潜り込みました。

友達は、ナニが起こったのか全然知らない状態でしたが、
私の手足が異常に冷たくなっているのに気がついて、
その余りの冷たさにビックリしていました。

翌朝、
美味しい朝ごはんを食べると
友人を無理矢理引っ張って、その神社へ向かいました。
神主さんに、昨夜の事情を話すと

『ああ、昨日は五山の送り火だったでしょう?
 きっと御所にいらした方々が、戻る時に寄り道されたんですよ』

・・・と、御祓いをして下さいました。

そういえば、
昔の人の話し方だったのかも・・・。
でも、
「般若心経の意味を知れ」・・・とは。
まっ、
確かに、言われてみるとそうですよね


・・・・

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