「不気味な女」
くろっぺさんの投稿
 (投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)

はじめまして。
私は超怖がりなくせに怖い話、不思議な話が大好きです。

8年程前、
三重県M市にある○○屋旅館という所に出張で泊まりました。
仕事の関係で遅くなったこともあり、
部屋に通された後は、もうとにかくお風呂に入りたくて、
足早に大浴場に向かいました。

その日は泊り客が少なかったのか、
大浴場は私一人・・・・すごく贅沢な気分でした。

しばらく湯船につかっていると、
30代前半(?)の女性が一人入ってきて、
私に丁寧に頭を下げながら、声を掛けてきました。

「こんばんは」
「あっ、こんばんは・・・」

見ると、
裸にショルダーバッグをさげ、時計や貴金属も身につけたまま、
しかも
手には『 上 』・・・というような字が書かれた白い長細い袋。
(よく神社やお寺で売ってる木のお札が入ってるような袋)

そして、
袋を浴場の隅に置いたと思うと、
いきなり、そのままの姿でシャワーを浴び始めたんです。
しかも、
身体で妙なリズム(踊り?)をとりながら、
胸の辺りばかりにシャワーを当ててるんです。

こ・・・この人・・・ちっょと変・・・
私は身体も洗わず、そそくさとお風呂を後にしました。
私が着替えている間も
彼女はズゥッ〜と同じ体勢でシャワーを浴び続けていました。

部屋に帰って、
テレビを肴にビールを飲んでいると、
旅館のどこかから
マイクを通したような女性の大きな声が聞こえてきたんです。
まるで祝詞のような、渾身の力をこめた歌舞伎のセリフのような…。
私は直感的に

「さっきの大浴場の女だ!!」

・・・と思い、そこはかとない恐怖を感じたのですが、
23時も過ぎていたので、
すぐ旅館の人が止めてくれるに違いないと我慢していたんです。
ところが、
その声は、それから延々と続いたんです。
私は、
怖くて怖くて電気をつけっ放しで寝ました。 

翌朝、
隣りの部屋に泊まっていた同僚に
「昨夜の女の声気持ち悪かったね」・・・と言うと、
「何も聞こえなかったよ」・・・と。

一体・・・・あれは何だったんでしょうか?