「三段壁」
おさむさんの投稿
 (投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)

今から10年ほど前、
仕事仲間、男ばかり4人で白浜に旅行した時の話です。

男ばかり・・・ということですので、
いろんな観光地をまわりながら、当然(?)のごとくナンパ・・・
運良く女の子4人と行動を共にすることになりました。
8人で千畳敷や白良々浜などを散策・・・・、
そして深夜・・・レンタカー2台で三段壁へ行くことになったのです。
僕たちの頭の中はもう妄想の嵐。

ところが、
三段壁に着き、崖が近づくにつれ雲行きが怪しくなりました。
女の子の中に霊感が強い子がいて、
「なんか・・気分が悪くなってきた」・・・・と言い出したのです。
僕は何とも言えない不安を覚えたのですが
そんなことは気にも止めない他の6人のメンバーは、
どんどん断崖絶壁に向かって歩いていきます。

仕方なく僕と彼女もその後ろを追ったのですが、
ある場所・・・ラインから先に進めなくなってしまったんです。
後ろには下がれるのに。前には進めないのです。
まるで、目に見えない力に身体を押し戻されている感じです。
「な・・・なんだ・・・前に進めない・・・」
見ると・・、
その霊感の強い女の子も同じラインでうずくまって泣いています。

「おい、ヤバイんちゃうか・・・帰ろぉー!」

僕は6人に声を掛けましたが
彼等は盛りあがっていて帰る気配は全くありません。

そのとき、
霊感の強い女の子が急に叫び声を上げたのです。

「いやぁーー!!」

僕も他の6人も彼女の悲鳴を聞き、
彼女の視線の先にある崖の上の木を見て恐怖で震えました。

女の生首が僕たちの様子をジッと見ていたのです。

僕達は慌ててその場を逃げ出しました。
しかし、
車の所まで逃げてきて振り向くと、
先ほどの生首が僕達を追って、すぐ後ろまで来ています。
その顔はこの世のものとは思えない憎悪と憎しみに満ちています。
僕は必死でその場を離れました。

僕らが逃げ去るのと入れ替わりに
別のグループが特徴のある改造車で三段壁に入って行きました。

翌日、
帰路に着いた僕達は、
昨夜の改造車の事故現場に出くわしました。
現場検証中の警察の方にそれとなく聞くと、
深夜の事故で、4人中2人が即死、2人が重傷とのことでした。

一歩間違えば僕達が・・・と思うと、今でも鳥肌が立ちます。