「憑く」
シマシマンさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

当時(今から約12年前)自分は会社の独身寮に住んでいました

その日は週末に知り合いの所へ出かけ、
寮に帰った時には夜中の2時を少し回っていました。
寮の門まで後数十メートルというところで、
同僚のJ子さんが寮から車で出てきました。
しかも
助手席にはがっちりした体型の男性を乗せているではありませんか。
彼女の車は寮を出て自分の車の方向に向かってきます。
すれ違いざまに二人を見たのですが、
彼女は気付かず、助手席の男性とは目が合いました。
その男性は目があった瞬間
自分に微笑みかけるような照れ笑いを浮かべたのを
今でもはっきり覚えています。

後日、
彼女を問いつめましたが
「見間違いですよ〜」
「寮に友人を送って行った帰りだから一人で乗ってました」
・・・の一点張り。

嘘を付くような子ではないので、
「おかしいな・・・・・?
 あんなにハッキリ見えて見間違いもくそもないのに」
・・・と
思いながらもその場はそれで終わりました。
しかし
自分でも何か納得いかず、
彼女の元先輩のS子さんにそのことを話してみました。
S子さんは自分よりかなり年上ですが気持ちも見た目も若々しく、
お姉さんのような感覚でいつも相談をしている人です。
J子さんとは、以前、同じ事務所で勤務していたこともあり、
また、異常に霊感の強い人で、
その手の相談にもよくのってもらっていました。

S子さんは開口一番
「その話・・・他の人にしちゃだめよ」・・・と。

「あなただから言うけど・・・・、
 それはJ子に憑いている霊を見たのよ。
 他に何か変わった様子はなかった??」・・・と。

霊と目が合った瞬間に笑ったことを伝えると

「それは、まずいわね」

「そんなにやばい状況なんですか」

「助手席と言うことは彼女の左側よね。
 最近、J子は理由もなく左足や左手にけがが多いのよ。
 でも、あなたに笑い掛けたのがもっと気になるの。
 だって、霊が人に取り憑くときは救いを求めてる訳だから
 必死の形相をしていることが多いのよ・・・・。
 それが笑っていたと言うことはね・・・
 もう完全に取り憑いてしまって、この女はもう俺のものなんだぞって
 勝ち誇っているような状態だと思うの。」

「それに、彼女は元々霊媒体質で、よく霊を連れていたの。
 私が最近会った時には子供が左足にしがみついていたのよ。
 でも、下手に除霊してもっと強い霊が憑くよりは、
 弱い霊に憑かせておいて、他の霊が寄りつけない状態の方が
 まだマシだと思ってほったらかしにしてたの。
 でもあなたの見た霊は、明らかに違うから、ちょっと心配ね。」

その後
先輩は「セミナー」と称して同僚を含めて彼女を誘い出して、
先輩がどうしようもなくなった時に相談している霊能者の所に連れて行きました。

今では、J子は無事に(?!)自分の後輩と結婚し、
元気に暮らしています・・・たまに左足を引きずってはいますが・・・。