「赤いハイヒール」
くーさんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

これは霊感もちの姉の体験談です。

姉の職場は四ッ谷なんですが、
ここは東京大空襲の時にたくさんの人が亡くなった場所で
土地自体に様々な逸話のある場所なんです。
そういったわけで
姉の働くオフィスビルにもいろいろ怖い話があるんです
この話もその1つです。

姉は某大手自動車会社の接待部門の子会社で働いています。
財界、政界のトップの方たちを接待する為の特別なレストランの
ウェイトレス?ホステス?のようなものです。

姉は、その日も政界の方たちを接待していました。
姉が席をはずしてトイレへ行った時です。
個室に入り、用を足していると、
廊下から

カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・・

と、
ハイヒールの音が聞こえ、トイレの中に誰か入ってきました。
しかし、
その足音は空いている個室に入るでもなく
トイレ内を
カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・・と歩き回っているのです。

そのとき、姉は気づいたんです。
「いま接待してるのは1組、 しかも女性は私と先輩2人だけ、
 先輩がお客様をほったらかしにしてトイレに来るはずない。」

怖くなった姉は個室から出れなくなってしまいました。
そして・・・、
トイレ内をぐるぐる回っていた足音は姉の個室の前で止まりました。
姉はじっと息をひそめていましたが
ドアの外に人の気配がしなかったので恐る恐るドアを開けました。
見回すとやっぱり誰もいない。

個室から一歩出たとき、姉は愕然としました。
そのトイレはお客様も使うので床が絨毯になっていたのです。
どんな硬い靴をはいたとしても、
カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・・という音はたたないはずなのです。

そのとき
頭の上から再び足音が・・・
カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・・

ゆっくりと顔を上げると・・・、
天井を歩き回る赤いハイヒールが・・・