「階段」
豊岡さんの投稿
 (投稿原稿の内容を尊重しつつMoMoがリライトいたしました)

学生時代、クラブの合宿で
佐賀県の川沿いの某ホテルに泊まった時の話です。

このホテルは
新館・旧館の建物からなっているのですが構造が複雑で、
旧舘の4階部分と新館の1階部分がつながっていて、
新館の1階部分に玄関・フロントがあります。
ただ、
階数の数え方は、旧館1階から順番に数えるようで、
新館の1階部分は「新館4階」と呼ばれていました。

私達女子は新館6階(3階部分)を貸切。
5階も私達の学校の先生と男子達だけでした。
 (7・8階はフロア全体が会議室で客室はありません)

何泊目の夜かは覚えていないのですが、
深夜3時頃、私と友達二人で他の部屋に遊びに行く途中のことです。
この時間ともなると、
さすがに廊下は静まり返っていて気味が悪いほどだったのですが、
ふっ・・・と、
子供の声が聞こえてたような感じがしたんです。

「今、何かね聞こえなかった?」
「うん、子供の声みたいな・・・?」

すると、また・・・
笑い声のようにもグズッているようにも聞こえます。

「夜泣きかなー?大変だよね〜」
「ほんと、小さい子、連れて旅行は大変だよね」

なんて、のんきに話していたんですが、
友達の1人が青い顔をして、

「今の声、どっから聞こえてきたの?
 6階より上には客室ないし、5階は先生の部屋だし・・・・
 4階ってフロントだよ・・・、旧館の声が聞こえるわけないし・・・。」

私達は急に恐くなって部屋に戻ったのですが、
実は、その旅館にまつわる話はそれだけじゃなかったんです。

後で聞いたのですが、
深夜、男子が何人かで屋上に肝試しに行ったらしいんですが、
勇んで行ったものの、何の変哲もないただの屋上だったらしく、
結局、何もせず、そのまま部屋に戻ろうということになったそうです。

エレベーターまで戻ってみると、
乗ってきたはずのエレベーターが5階に下りています。
こんな時間に自分達以外にエレベーターに乗る人がいるのかと
不思議には思いつつ、ボタンを押してエレベーターを待ったそうです。
しかし、
エレベーターが混むような時間でもないのに
なかなかエレベーターが上がってこないのです。

さすがに気味が悪くなった男子達は階段を使うことにしたんですが、
その階段も段ボール箱やら机やらが積まれていて、
暗闇の中で降りるには危険な感じだったようです。
「どうしようか?」・・・と話していると、
階段に積まれてい段ボール箱の中から、
急に人の気配を現れたそうです。
しかし、
気配の感じる段ボール箱は、人の入れる大きさではありません。
でも、全員が「中に人がいる!」・・・と感じたらしいのです。

ゴソ・・・・・ガサ・・・・・ズズッ・・・・

男子達は
あわててエレベーターのボタンを連打し続け、
ようやく上がってきたエレベーターに一目散に乗り込み
部屋へ逃げ帰ったというのです。

私達が聞いた子供の声・・・
大人には入れそうもない小さな段ボール箱の中からの人の気配・・・
このホテルの階段には一体何があるのでしょうか???