「夢」
裕美さんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

従兄弟の結婚式に呼ばれ善光寺に近い旅館に泊まった時の話です。

その日は
朝から目的地に行くのに気がひける日でした。
松山空港に着いた時点で、急に気が進まなくなったのです。
ジンクスじゃないけれど
私にとって19日というのは旅行タブー日だったりもします。
しかし、
従兄弟の挙式が20日で、泊まりが必要なので仕方なかったんです。

宿泊することとなった旅館は、
とてもアットホームで感じでホッとはしたのですが、
空港に着いてからの違和感をぬぐうことは出来ませんでした。
部屋を見渡してみると
ある一角だけどうしても気になるんです。
部屋には人形が飾ってあったんだけど
その人形の目線の先にある畳の辺りが、どうしてもひっかかるんです。

嫌だ嫌だと思っていると、
かえって嫌なことが回ってくるとでもいうのでしょうか
ちょうどその畳の辺りに敷かれた布団で私が寝る事になったんです。

案の定、
その晩、変な夢を見たんです。

古いお堂の前に立った私が、
お堂の扉を開けると正面には、首の無い古ぼけた女雛が一体・・・
そして、
その女雛は、私に何かを必死に訴えてくるのです。
首が無いのですから、訴えてくるというのもおかしいのですが、
確かに何かを訴えてきている、そういう感じなんです。
「何、何なの・・・私には解らないわ・・・!」

混乱する私の周りを女雛がグルグル回り始めて・・・
そして、
オーバーラップするかのように部屋に飾ってあった人形が
現れては消え、現れては消え・・・

夢を見ていた時、
私はかなりうなされていたそうで、
「女雛・・・女雛・・・首のない女雛が・・・・」
と悲鳴のような声をあげ続け、親戚達がいくら起こしても起きず、
まるで何かに憑かれているようだったそうです。

そして、
訴えている何かが解りかけた瞬間、目が覚めたんです。
とっさに
部屋の人形を見ましたが、寝る前と同じで何事も無かった様子でした。
怖いというより哀しい気持ちで心が一杯になっていました。

今、思い起こしてみると
古いお堂・・・なんか何処かで見た事ある様な気がしてならないんです。