「般若心経」
京都の健四郎さんの投稿
 (文章の一部について、MoMoが加筆修正いたしました)

ちょうど10年前・・・
お盆も過ぎ8月の暑さも納まってきたある日のこと・・・
長年つきあってきた愛車を買換える事とした為、
この日、
私は1人で愛車との最後のドライブに出かけたのです。
(免許を取って初めて買った車で、すごく愛着がありました。)

残暑厳しい8月25日の夕方、
仕事も終わって夕涼み最後のドライブということで
いつもの走り慣れたコース・・・国道162号線(周山街道)京北町から
花背峠から大原回り(三千院近く)で帰ってこようと言うルートでした。

山道は日が落ちると、街中のような熱気はなく、
窓を開けて走っていると涼しくて気持ちが良く爽快でした。
ただ、
この山道は昼間でも暗い所もあるくらいで、
日が暮れるのも早く辺りは真っ暗になっていました。

時間は午後8時半を回ったところ・・・、
私はカーラジオをつけて鼻歌歌いながら爽快感を味わっていました。
そして
峠のヘヤピンカーブが点在する所に差し掛かった瞬間、
急に生暖かい風が車の中に入ってきたと思うと、
今まで軽快に鳴り響いていたカーラジオが突然鳴らなくなり、
誰も乗せているはずのない助手席に
誰かが乗っている気配がしてきたのです。
もちろん、そこには誰もいません。
でも、確かに、誰かが乗っている感じがするんです。
目には見えてないんですが・・・・。

次の瞬間、
その何者かが車のハンドルを握り、
左の方向へすごい力でひっぱるのです。
左側はガードレールで下は谷底で、落ちたらひとたまりもありません。

私は恐怖と闘いながら、
「般若心経」を必死で唱えました。
すると、
ハンドルから力が抜け、
助手席からも人の気配がスゥーと消えていったのです。

恐怖から解放され、我に返った時、
山道の向こうに民家の灯りが見えていました。

もし、あの時、
般若心経が唱えなかったらと思うと、今でも鳥肌が立ちます。

般若心経は亡き祖父が、
僕が小学校の時に写経した紙をもらってなぜかみているうちに宙で言えるようになったのです。
今更ながら、祖父には感謝してます。