「死してなお・・・」
神奈川県H ホテル某 


後輩の男性添乗員の体験談です。

その日のお客様は人使いの荒い方々だったらしく、
散々こきつかわれたか彼は体力的にも精神的にも疲れきって、

「はぁ〜、もうアカン!
 誰がなんと言っても、もうそのまま寝ちゃうぞぉ〜!!」

・・・と
彼はお風呂もそこそこに部屋に戻って蒲団に倒れ込んだそうです。

爆睡すること数時間、
深夜・・・何時頃でしょうか、
彼は、突然、強い力で揺り起こされたのです。

「え、えっ、何??」

寝ぼけ眼で見ると
蒲団の横に大柄の男性が座っているようです。

「あのぉ、どちら様ですか? こんな夜中に一体何の御用ですか??」

・・・と
彼は男に尋ねようとしたのですが声が全く出ません。
それどころか
起き上がろうにも身体がほとんど動かないのです。
全身が金縛りにでもあったように自由に動かせないんです。

「な、何だこれは??
 コイツ、どうやって部屋に入ってきたんだ? カギかけたのに・・」

そう思いながら暗がりに目を凝らしてみると、
その男は半透明で身体の後ろの窓がうっすらと見えています。

「コイツ、幽霊?!」

そう思った瞬間、
彼はいきなり、その男に口をふさがれたそうです。
そう、キスされたのです。
(結構ハードなのを・・・)

身動きひとつ出来ないまま彼がビックリしていると、
男性の霊は彼の蒲団の中にもぐり込んできて、
彼に覆いかぶさると、こう言ったのです。

「お願い、少しの間だけでいいの、そばにいさせて・・・」

男の霊はしばらくの間、
彼の身体中(特にアノあたり・・)を撫で回していたそうですが、
満足したのか、気がつけば消えていたそうです。

彼が言うには人生最大の恐怖だったらしく
「生きてる人間か、幽霊かという以前の問題」だったとか。