「心霊取材(3) 海岸にて」


十数年前の事、
ミステリー&オカルト系の特集で結構有名な某雑誌が、
東海地方のある地域の心霊スポット特集を組む事になり、
若かりし日のM副編集長ほか
4人のスタッフがワンボックスカーに乗込み
2泊3日の取材旅行に出かけたそうなんです。

初日には
交通事故というトラブル(ある意味ラッキー?)があったものの
その後は至って順調で、予定していたスポット全ての取材を終了し、
陽が落ちる頃にはホテルにチェックインできたそうです。

4人は早々に入浴すると夕食も簡単に済ませて床に就きました。
というのも、
翌日の取材は心霊スポットとして有名な某海岸に
陽が昇る前に行く必要があったからなんです。

実はこの海岸・・・、
釣りのスポットとしても有名なんですが
二十年程前(取材時より・・・つまり、今から三十数年前)、
朝釣りを楽しんでいた釣り人達が、突然の高波(津波?)に襲われ、
数人の方が犠牲になるという事件があったんだそうです。
それ以来、
陽が昇る前の海岸で彼等の霊を見たという人が後を絶たず、
例えば、
釣り人が朝釣りをしてて、ふと気づくと
いつのまにか隣に見知らぬ釣り人が糸を垂れていて、
「おはようございます」
と声を掛けると、そのまま霞のように姿を消した・・・とか。

さて2日目の早朝、
4人はまだ暗い中を目的の海岸へ向かい、
近くに車を止めて海岸へは徒歩で降りていきました。
海岸の入口(?)まで来た時、スタッフの1人が驚いたように
「朝釣りする人って結構いるんですねぇ〜」・・・と。
確かに
海岸には10人程の釣り人の影があり、
4人の10メートル位先にも釣り人が1人歩いています。
「ほんとだなぁ〜」
Mさんがそう答えた次の瞬間、
20mほど沖の波がゴボッと大きく盛り上がったかと思うと
すごい勢いで海岸に向かって押し寄せてきたんです。

「うわ〜!!」

逃げ出す暇もなく4人は波に飲まれ・・・たはずなんですが、
4人が我に返った時には海岸は何事もなかったように静かで、
5〜6人の釣り人が朝釣りに興じていたんです。

今の高波は??
海岸の釣り人の数も減っているし、
前を歩いていた釣り人もいない・・・。

4人は海岸の釣り人達に恐る恐る聞いたそうです。
「今、高波が来なかったですか? 
 他にも4〜5人の釣り人がいたと思うのですが?」・・・と。
しかし、
釣り人達の答えはいずれも「No」でした。

4人は、
海岸の写真を数枚撮ると一目散に次の取材場所に移動したそうです。

そしてその後、
東京に戻る1日半の間に3っ目の心霊現象に遭遇することになるんです。
その心霊現象が
何処でどのようなモノだったのか私には分りません。
ただ、
先の全く別物だと思われた2つの現象を一本につないで
全体として大きな心霊現象を形作っているらしいのですが・・・。
皆さんは、
どのようにお考えになられるでしょうか?