「心霊取材(2) 抜け道」


十数年前の事、
ミステリー&オカルト系の特集で結構有名な某雑誌が、
東海地方のある地域の心霊スポット特集を組む事になり、
若かりし日のM副編集長ほか
4人のスタッフがワンボックスカーに乗込み
2泊3日の取材旅行に出かけたそうなんです。

渋滞を避けるため朝早く出発したのですが、
7時半を過ぎる頃にはしっかり渋滞に捕まってしまい、
事前に調べていた抜け道に入る事にしたんです。

抜け道に入って5分ほど走った頃
運転していたスタッフが突然、

「や、やめろ! やめてくれ!」

・・と
悲鳴をあげるとハンドルから両手を離し、
何かを振り払うかのように激しく動かし始めたんです。
次の瞬間、
車はガードレールを削って路肩の電柱に激突!

「お前! 何してるんだ!」

「フロントガラス・・・
 フロントガラスから男の子が・・・
 7〜8才の男の子が現れて、僕の首を絞めてきたんです。」

「お前なぁ〜」

「Mさん、それホントかもしれないですよ」

その時
後部座席に座っていたスタッフの1人が
対向車線側の電柱の立て看板を指差しながら言ったのです。
その看板には

『平成○年△月×日午前8時頃 
 品川ナンバーの白っぽいワンボックス車による
 8才の男児がひき逃げ死亡事故の目撃された方は情報を・・・』

そう、
彼らの乗っていたワンボックスカーは、
まさに品川ナンバーのシルバーだったんです。

看板を見てスタッフ全員凍りついたそうですが、
そこは雑誌記者の性(サガ)・・・
「これは良い記事が書ける!」
と、事故現場と看板の写真を撮り
喜び合ったというんですから呆れたものです。


余談になりますが、
彼ら・・・先を急いではいたのですが
車両保険の支払いの関係から警察を呼ぶ事にしたんですが、
現場と車種を警察に伝えたところ
やって来たのはパトカー2台、警察官5人!
ただの自損事故なのに
まるで重大な人身事故でも起こしたかのように・・・
驚いて事情を尋ねると

「いや、事故のあった日や被害者の命日に加害者も加害車両が
 発見されるケースが少なくないもんでね、念のため・・・」

との答えだったそうです。
そこで、
思い切って、フロントガラスから男の子が・・・という話をしてみると

「そういった話も聞かないわけではないです」・・・と。

不思議な話です・・・。