「入ってきた・・・」
香川県 
K平 ○○ホテル

バス旅行でお客様に満足頂くためには
ドライバー、ガイド、そして私達添乗員のチームワークが重要なんです。
ですから、
私は大事なお客様の仕事の際には、
気心の知れた仕事のやり易いドライバーさんとガイドさんを
わざわざ指名して来てもらう位なんです。

その為にも
ドライバーさん、ガイドさんとは出来るだけ機会を見つけては、
コミュニケーションを図るようにしてるんです。
ドライバーさんとガイドさんは同じバス会社の場合がほとんどですが、
私達添乗員は旅行会社に属しているので尚更なんです。

・・・ってなわけで、
この日もコミュニケーションの一環として
ドライバーさんの部屋に集まって
私とガイドさんの3人で飲んでいたときのことです。
このドライバーさん、
霊感が強くて何度も心霊体験をしてきているんです。


10時半頃だったかな・・・、
「そろそろお開きにしようかぁ」・・・と話していると、
突然
ドライバーさんの顔色が変わったのです。
いつも穏やかな表情の彼が急に血走った目つきになり、

「入ってきたぁー!」

・・・と叫びと、
バッグから数珠を撮り出して、お経を唱え始めたのです。

信じられない事に
彼のお経の声は、若い女性〜子供〜老人〜若い男性・・・と
次々に変わっていくのです。
それも
モノマネのような声じゃなくて、
本当に女性、子供、老人・・・そのものの声なのです。
顔の表情や仕草も
その声の主に合わせて変わっていきます。

突然の展開に
私とガイドさんは恐ろしくなり、
立ち尽くしたまま遠巻きに彼の様子を見ていました。


15分程すると、
彼が元に戻ったので、何が起こったのか聞くと、
ホテルにゆかりの霊が彼の口から一気に入ってきたと言うのです。
お経を唱えれば何とかなると思って
数珠を持ってお経を唱え始めたら1人ずつ順に出ていったと。

しかし、
彼は自分の声が変わっていたことは、全く気付かなかったそうです。