「窓を叩く者」
滋賀県びわ湖畔 某ホテル

滋賀県といえば、やはり琵琶湖ですよね。
今回の話は、
この琵琶湖畔の某観光ホテルでの知人のドライバーの体験談です。
地元では結構有名な話ですので、
関西の方々はご存知かもしれません。

実はこの話、
「本愉・恐怖スペシャル」用に考えていた話だったのですが、
打合せの際に担当の方から
「 妙にリアルで・・・幽霊というよりは妖怪っぽいのでは・・・?」
・・・と、
掲載を見合わせた話なんですが、
私としては気に入ってた話なので、いち早く紹介することにしました。

・・・・・

夜10時過ぎ・・・
彼がテレビを見ながら一杯やっていると、
窓を外から打つような音が聞こえてきたそうです。

始めは風かと気にも留めていなかったのですが、
どんどん音が大きくなってくるので、
大きな虫でもいるのかな・・・と窓を開けてみたのですが何もいません。

「おかしいな? 
 風も吹いていないし、虫が飛んでいる様子もないし・・・」

彼は窓とカーテンを閉めて、またテレビを見始めたそうです。
すると、
また窓を外から打つような音・・・・
徐々にですが、音も大きくなり、その間隔も短くなってきます。
まるで、
窓の外に人がいて、窓を叩いている様な音なのです。
しかし、
ここは7階、窓の外には人が立てるような場所などありません。

「おいおい・・・やめてくれよぉ・・・シャレにならへんでぇ」

そう呟いた瞬間、
月明かりで窓のカーテン越しに人影の様なものが一瞬映ったのです。

彼は、
そっと窓に近づくと・・バッとカーテンと窓を開けました。
しかし、そこには誰もいません・・・

「何だ、気のせいか・・」

彼が窓を閉めようとしたその時、
彼は頭上に人の気配がすることに気づいたのです。

「何だ・・・?」

見上げると、
窓の上のホテル外壁に、
髪を振り乱した老婆が逆さまにしがみついています。

「ヒィーー、ヒッ、ヒッ、ヒッ・・・」

老婆は気持ち悪い笑い方をすると、
ヤモリのように彼に向かって壁を這い降りてきたのです。

「うわぁ〜!!」

彼は慌てて窓を閉め、カーテンを閉めて、蒲団にもぐり込みました。
窓を叩く音は、それからも一時間ほど続いたそうです。

彼は、
酒は飲んでたけど幻想を見たわけではない・・・と話していましたが・・