「首吊りの木」


yukiです。

今回の話は、
今年、MoMoちやんと郷里に帰った時の話です。

そこには、
MoMoちゃんより1才下の従妹youkoちゃんがいるんです。
youkoちゃん、県警の捜査課にいる女刑事なんですよ、女刑事。
なんと、マル暴担当なんですよ。
その前は、
交通課だったんですけど暴走族が担当。

深夜、暴走族を捕まえたとき、
「夜更かしは、お肌に悪いのよぉ!!」
・・・って、怒鳴りまくったという、
MoMoちゃん以上のワガママ女王様なのです。


久し振りなので、
夜遅く迄、youkoちゃんの部屋で3人でおしゃべりをしてたんです。

ちょうど、夜中の2時頃でした。

ザッ、ズズズッ・・・・・ザッ、ズズズッ・・・・・

重い物でも引きずって歩く様な音が外から聞こえてきたんです。

ザッ、ズズズッ・・・・・ザッ、ズズズッ・・・・・

街中ではないので、
こんな時間に外を出歩く人なんて、ほとんどいないはずです。
それも、何かを引きずって・・・

「なっ、何・・・? 今の変な音・・」

私とMoMoちゃんは、youkoちゃんに尋ねました。

「あっ、あれ・・・、来たのよ、幽霊が・・・」

「ゆっ、幽霊・・・・ウソでしょう?」

「ホントだよ。
 2ヶ月位前、
 近所のおばあちゃんが裏の祠の桜の木で首吊ったの。
 それから毎日のように出るのよぉ・・・・
 首を吊った大きな枝を首にかけた縄で引きずりながら、
 近所中を一晩中歩き回るのよぉ・・・・ホント、迷惑な話ネェ・・」

「へっ・・・、youkoちゃん怖くないの??」

・・・なんて話しているうちに
その音が、私達の家の前まで来たんです。

ザッ、ズズズッ・・・・・ザッ、ズズズッ・・・・・

「重いよぉ・・・、苦いよぉ・・・、痛いよぉ・・・、助けてぇ・・・」

ザッ、ズズズッ・・・・・ザッ、ズズズッ・・・・・

「重いよぉ・・・、苦いよぉ・・・、痛いよぉ・・・、助けてぇ・・・」

ザッ、ズズズッ・・・・・ザッ、ズズズッ・・・・・

「重いよぉ・・・、苦いよぉ・・・、痛いよぉ・・・、助けてぇ・・・」


私とMoMoちゃんは、
その音と苦しげな声が通り過ぎるまで、
息を止めて、ピクリとも動くことが出来ませんでした。
youkoちゃんは、
「大丈夫、大丈夫、襲って来るんじゃないんだから」・・・だって。


自殺すると、成仏できないって本当なんですよね。
あのまま、ズゥ〜と永遠に彷徨うのでしょうか?