「髪」
熊本県 某温泉

先日、
御昼ごはんでご一緒した男性添乗員Kさんの話です。

Kさんは、その場所、ホテルについては言葉を濁してましたけど、
近くに円形の石門で有名な弘法大使が開いた寺があって、
川沿いにある旅館との事・・・。
もしかしたら、旅行関係者と地元の人は判っちゃったかな?
そう、アソコです。

さて、その日
彼が通された部屋は純和室で、
「へぇー、いいじゃん、今日はゆっくり眠れるなぁ・・・」
・・・と感心する程のナカナカの部屋だったそうです。

深夜、何時ごろでしょうか、
彼は口の中の何ともいえないに違和感に目を覚ましました。

「な、なんだ・・・口の中に何か・・・・・」

手にとって見ると、それは髪の毛。
でも、明らかに自分のものとは違う女性のものの様な長い髪。

「何や、これ??
 前の人が使った後、枕とシーツ変えてないんか・・・?
 いくら乗務員部屋でも衛生には気をつけてほしいよな!!」

彼は、そうつぶやくとまた眠りに入ったそうです。
(乗務員は、こういうのには結構慣れっこになってます)

・・・・しばらくして、
彼、また口の中に違和感を感じて目を覚ましました。
そう・・・女性の長い髪。

「ふぅ〜・・・、明日は絶対文句を言ってやろぉ・・・・」

彼は、枕をひっくり返して、また眠りに・・・
そして、ちょうどウトウトしかけた時、
今度は口の周りに違和感が・・・・・。

「いい加減にしてくれよぉ・・」

彼が口元に手をやると、
手から溢れ出るほどの髪の量です。

「なっ・・・・何・・・??」

ビックリして目を開けると
何とKさんの顔を髪の長い女性が覗き込んでいたんです。
そしてその長い髪が、彼の口元に垂れていたんです。

彼が「うわー」と声にならない悲鳴をあげると、
その女性は自分の髪の毛を一本抜いて、
彼の口の中にすっと入れたんだそうです。

彼は恐怖のあまり硬直して口を閉じる事が出来なかったといいます。

その女性は、一本、そしてまた一本と自分の髪を抜いて、
彼の口の中に次々と入れていきます。
やがて、
口の中が髪の毛で一杯になり・・・・・・。
あまりもの事に、
彼は、そのまま気を失ってしまったそうです。

翌朝、
彼が目覚めると、女性の姿はなく、
口から溢れていた髪の毛も姿を消していたそうです。
その代わり、彼の首に長い髪の毛が5,6本巻きついていたそうです。
そして、
髪の毛が巻きていた部分は赤黒く内出血していたそうです。

出発前、
彼がフロントにクレームを入れようとすると
ホテル側は「それが何か」を知っている様子で話をそらし続け、
彼は、最後までこの件についてホテル側へ問いただすことが出来なかったそうです。

ちなみに、
彼がこの話をしてくれた時の御昼ごはんには、
モズクがあったんですけど、流石に誰も口にしていませんでした。
 (彼は食べてましたけど・・・・・うぅ〜ん、神経の太いやつ・・・)