「目」
岐阜県G温泉の有名老舗旅館

先日、
北陸のあるSAの乗務員休憩室で出合った運転手のDさんの話です。

はじめは普通に世間話をしていたんですが、
フッ・・・と会話が途切れたとき、

「初対面の方もおられるのに、
 いきなり、こんな事聞くのはどうかと思うんですが、
 コレなんだと思いますか?」

Dさんは、
包帯を巻いた手のひらをMoMo達に見せるんです。

「あのぉー、怪我・・・されたんですか?」

「いえ、そうじゃないんです。」

Dさんは、そう言うと包帯を取り始めたんです。
そして、
そこには・・・・・・・・・。

「これ・・・何ですか・・・?、まるで人間の目みたい
 イボ?・・・タコ?・・・・ウオの目って足だけですよね。」

・・・・・・・・

3日前・・・・、
Dさんは岐阜県G温泉の有名老舗旅館に泊まったそうです。
彼が泊まったのはもちろん乗務員部屋。
当然の事ながらトイレも洗面所もありません。

深夜、
トイレに行きたくなった彼は廊下に出ると、そこは真っ暗です。
(ホテルは深夜、各廊下の電気を消す場合が多いんですよ。
 スイッチは各廊下の一番端や分かりにくい場所にあります。)
彼は、スイッチの場所も確認してなかったし、
トイレの場所も分かっていたので、
「まっいっか、その内、目も慣れてくるだろう」・・・・と、
暗い廊下を歩き始めたそうです。

トイレからは、明かりが漏れ水の音がします。
「誰かいるのかな?」
ドアを開けると、50歳位の男性が洗面所で顔を洗っています。
その男はDさんの気配に気がつくと振り向いて、

「御疲れ様です」・・・と挨拶をしたそうです。

「うわぁーー!!」

Dさんは、思わず悲鳴を上げたそうです。
その男・・・目が無かったんです。
目があるべきところには、ポッカリと穴が開いてるんです。

「あ・・・あ・・・あ・・・目・・・目が・・・??」

「あぁー、これですか、こうすると気持ちがいいんですよね」

男はそう言いながら、
手に持った目玉をハンカチで拭いて、
顔にポッカリと開いた穴に戻したんです。

「あ〜、これであんたが良く見えるよ」

Dさんは逃げなくっちゃとは思いながらも、
身体が動かなかったそうです。

「あっ、そうそう、これ・・・、一つ余ってしまって・・・」

男は、Dさんの手を取ると、
手のひらに目玉を一つ乗せたそうです。

「うわぁーー!!」

あまりにもの事に、Dさんは腰が抜けてしまい、
そのまま気を失ってしまったそうです。

「・・・・・・・・・」

「大丈夫ですか、大丈夫ですか・・・・」

Dさんが目を開けると、
顔見知りのドライバーが心配そうに彼の顔を覗き込んでいたそうです。
朝まで、そのまま洗面所で気を失っていたんです。

「あれは夢だったのか?」

気分を取り直し、顔を洗おうとすると、
左手に痛みを感じました。見ると・・・

・・・・・・

Dさんは、
話を終えると、また左手に包帯を巻き始めたんですが、
その瞬間、手のひらの目が、フッ・・・と微笑んだような気がしました。

でも、あの・・・「手のひらの目(?)」は一体何だったんでしょうか?
そして、洗面所にいた、50歳位の男性は・・・・・?