「冷たい手」
岩手県 H巻
ホテル○○○

今回は、
後輩のD君の話です。

それは去年の秋のこと・・・。
彼がこのホテルをお客様に提案したのは、
露天風呂からの渓谷の景観が素晴らしいという点でした。
自信たっぷりに紹介した彼ですが、
実はそのホテルには一度も行ったことが無いんです。

「MoMoちゃん先輩、あのぉ〜・・・・」
・・・って相談されて、MoMoが教えてあげたホテルなんです。

「あぁ〜ん!! 私ってば、なんて優しい先輩なんでしょう。」

・・・ってなわけで、ホテルに到着。 (はっ、早い!!)

彼が思っていた以上に、お客様も喜びで、
特に男性陣は、
混浴があるということで必要以上に大喜びだったそうで・・・。
 (D君だって大喜びだったんだろうな・・・・きっと・・・)

さて、お待ちかねの夜、
彼は期待に胸膨らませて、お客様と一緒に露天風呂へ。

しばらく湯船につかっていると・・・、

ピチャと音が・・・・・、

「もしかして・・・」

そう、そこには、22〜24才位の女性が4人。

過剰に意識をした彼は、アソコが困ったチャンになって、
湯船から出ることが出来なくて、のぼせちゃったんですって。
そして、
恥ずかしいことに、お客様に部屋まで連れて行ってもらい、
そのまま寝てしまったとか・・・・・(みっともないです・・・ハイ)

どのくらい経ったのか、気がつくと・・・・・、
目の前には、混浴に入ってきた女性の一人が・・・。

「ねぇ、大丈夫??」
・・・と、 彼女は手を彼のおでこに当てて、微笑んだそうです。

「うん、君の手・・・冷たくて気持ちいいや」・・・と彼が言うと、

「よかったわ」・・・と優しく答えてくたそうです。

そして、
彼女の手は、彼の顔を撫でながら首まで移動すると、
彼の首をゆっくりと絞め始めたそうです。

「冗談はやめなよ、ホント苦しいから・・・・・・」

すると、彼女は、満面の笑みを浮かべて、、

「そう・・・・・、じゃあ、スグに楽にしてあげる」

・・・と思い切り首を絞めたそうです。

薄れ行く意識の中で彼が見たのは、
さっきとは別人の様な怒りに満ちた女の顔だったそうです。

翌朝、
彼はロビーで、露天風呂の女性達と会いました。
でも、昨夜の彼女はいません。

「ねぇ、君達、もう1人の子は?」

「えっ・・・、私達・・・、3人で来たんですけど・・・・・」

そんなはずはない。
きっと、昨夜のことがあるから隠しているに違いない。
そう思った彼は、
一緒に露天風呂に入ったお客様に、それとなく聞いたんだそうです。
でも、
お客様に聞いても3人に間違いないとの答。

そう、昨夜の彼女は彼にしか見えてなかったんです。


そして、先日
お客様は「今年の旅行もホテル○○○に決定!、D君、頼んだよ」
・・・と、今から予約をしてきたそうです。

彼・・・、またまたMoMoに相談にきたんです。

「MoMoちゃん先輩、どうしましょう・・・
 僕、あのホテル、行きたくないんですよ。
 こんなに早くから予約されたら、満館とも言えないし・・・」

「いいじゃない、その幽霊、結構可愛かったんでしょ〜ぉ、
 男の子なんだから、ドォ〜ンといかなくっちゃぁ!!」