「積もる話」
宮城県 S温泉
でっかいホテル

宮城県の温泉で出る・・・というと、
第31話「性霊・・」でA温泉を紹介しましたが、
今回は、
仙台の奥座敷として知られるS温泉での話です。

S温泉は、
あの「青葉城恋歌・・・だったかな??」の歌詞にも出てくる
広瀬川のに沿って走る国道48号線にあります。
中でも岩松旅館の露天風呂は、河原の岩盤をくりぬいて作ってて、
一見の・・・・・いえ、一浴の価値がありますよ。
MoMoのお勧めです。

・・・で、今回のホテル・・・
一般のツアーなんかでもよく使われている「でっかいホテル」で、
結構、施設が充実してて一日では遊びきれない・・・って感じです。

事件が起こったのは、兵庫県某市商工会の旅行会でした。
商工会ですから、
町の社長さんから結構手広く会社経営している方まで色々です。
でも、さすがに皆さん、紳士で素敵なおじ様方ばかりです。

さて、恒例の、大宴会が始まって15分位経った時の事。
仲居さんが、
「面会したいと女性が来られていますよ」
見ると、宴会場の外に、一人の女性がおられました。

「私、中村社長にお世話になっているKと申します。
 こちらに来られている知り、ご挨拶に伺ったのですが、
 よろしいでしょうか? お邪魔にならないようにしていますから」

年の頃は40代で、落ち着いた物腰柔らかな美人。
とりあえず、幹事さんに相談してみると、
「中村さん、もてるからねぇ・・・、いいよ、入ってもおう・・」
そういうと、幹事さんは、Kさんを宴会場の中に連れて行きました。

宴会場はコンパニオンも大勢いて、もう盛り上がりっぱなし。
・・・で、Kさんはというと、
中村社長の肩にしなだれかかるように寄り添ってます。
さすがのコンパニオン達も気を使い、中村さんにはお酌程度で、
出来るだけ二人の世界にしてあげてました。

さて、翌朝
中村さんがMoMoに言ったんです。
「MoMoちゃん、私、夕べの宴会で何か悪いことでもしたのかな??
 私の所には、コンパニオンが 一度お酌に来ただけで、
 後はほったらかしだったんだよ。
 みんな盛り上がってたから、黙っていたけど・・・・・・・・・」

「だってぇ・・中村さん・・・彼女が来てたじゃないですかぁ〜、
 みんなもコンパニオンも気を使ってたんですよぉ。

「彼女って・・・・何のことだね」

「えっ・・・・・だって・・・」

よくよく、中村さんの話を聞いてみると、
そんな女性は見てもいないし、隣に座っていないと言うんです。

「そんなはずはないですよ」・・・・というわけで、
幹事さんを呼んで、中村さんに事情を説明したんです。
また、他の人達にも聞いてみたところ、
不思議な事に、Kさんの事を見てる人と、見てない人がいるんです

MoMoと幹事さん、それから彼女を見たお客様・・・・が、
口々に彼女の特徴を、中村さんに話します。
中村さんは、皆の話をしばらく聞いていたんですが、
「あっ、あの時の・・・・」

実は、昔、
中村さんは、この作並温泉に来られた事があって、
このホテルのすぐ近くの別のホテルに泊まった時、
その部屋に女性の霊が出たそうです。
そのときは、随分酔っ払っていたので、恐怖感が全然なくて、
その女性の話を、ずぅ〜っと聞いていたというんです。
でも、その時のことは、「どうせ、夢でも見ていたんだろ」
・・・と、気にも留めていなかったそうなんです。

夕べの女性・・・Kさんが、その女性の霊とそっくりだったんです。

MoMo達が見たKさんは、生きている人間そのもので、
とても霊などには見えなかったんですが、
半分近くのお客様は、Kさんを見ていないし・・・・やっぱり、あれは・・・

血の気が引いていく、MoMo達を尻目に
中村さんが一言・・・

「知っていたら、積もる話もあったろうに・・・・」

さすが、プレイボーイの中村さん、
モテる人は考え方が違う、怖いって感覚じゃないのね。