「電話」
四国 D温泉
D・・・ふにゃほにゃふにゃ・・・ホテル・・・2F・・・・

四国 D温泉・・・日本三大古泉のひとつ。
古き良き時代の温泉地の雰囲気をを残した超有名な温泉地。
 (なんか見え見えですね、こんな言い方したら・・・)

このD温泉にあるD・・・ふにゃほにゃふにゃ・・・ホテル、
この一件があるまで、「出る・・・」と聞いたことはなかったんですが・・・。

昨年の秋、(2002/11)
神戸の某エントリーサービス会社の慰安旅行に行ったときの事。
お客様は、全員で150人程度。

まぁ、これぐらいの人数になると
途中で宴会を抜けたり、別の部屋に泊まったりしても
ほとんどの場合、誰も気がつかないんです。

そういう時によくあるのが
「MoMoちゃん、皆に内緒で一部屋とって!」・・・というリクエスト。

この時は、
営業の中村さんと経理のRさん・・・・
えっ、なんで女性がイニシャルなのに、男性は実名かって??
当たり前じゃないですか、女性には人権がありますから・・・。
 (こういう場合、男性には人権がない・・・・のかな???)

でも、その日は土曜と言うこともあって、ホテルは超満員。

「お部屋、空いてないそうですよ。」

「どんな部屋でもいいから、二人にさえなれれば、頼むよ〜」

「まったく・・・中村さん・・妻子持ちでしょう・・・・」と思いながらも、
仲居さんに「布団部屋でもいいから」と頼み込んだんです。

「本当に、どんな部屋でもいいんですね」・・・と、
仲居さんもシブシブOKしてくれました。

翌朝、
朝食の時間になっても、2人が現れないので、

「朝も起きられないくらい、やってたの?!」・・・と思いながら、
部屋に電話をしたんですけど誰も出ないんです。
「おっかしいなぁ〜〜・・・」
・・・ってなわけで、部屋に呼びに行ったんです。

トン、トン・・・
「中村さぁ〜ん、起きてくださぁ〜い」・・・と呼びながら、
何気なくドアノブを回すと、鍵がかかってないんです。

「無用心だな・・、オートロックじゃないの、この部屋・・・」

悪いとは思いながら ( 少し興味津々で・・・ )、
そぉ〜と、部屋に入ったんです。

「入っちゃいますよぉ・・・」

「・・・・・・・」

「ど、どうしたんですか」

見ると、
2人が、真っ青の顔をして、呆けているんです。

「中村さん、Rさん、どうしたんですか!」
私の大声に正気に戻った2人は、
口々に、昨夜の出来事を話し始めたんです。

・・・・

昨夜、用意されたこの部屋は、
床の間のある4畳半、おそらく乗務員部屋だったのでしょう。
掃除こそされていますが、
最近は余り使われてい様子の部屋でした。

2人の話では、
さぁ、これからという時、
電話が大きな音で鳴りだしたそうです。
昔の電話の「ジリリリリン、ジリリリリン・・・・・」って音。
電話に出て誰かにバレたらまずいので、無視したそうです。

でも、ベルはいつまで経っても止まりません。

「しつこいいなぁ・・・」・・・と思いながら、
床の間の電話を見て気づいたんです。

「この電話じゃない・・・・」

なんと、鳴っているのは、部屋に備付の電話じゃないんです。
床の間の電話は、普通のデジタルフォンなんです。

「じゃぁ、このベルの音、どこから聞こえるんだ・・・・・」

よく聞いてみると、
その音は床の間の横の押入れ(押入れ風のロッカー)の中から
聞こえていたそうです。

恐る恐る押入れを開けてみると、
昔の黒電話が鳴っていたんです。
でも、その黒電話・・・・コードが切れてて鳴るわけがないんです。

2人とも 「これはマズイ・・・」と思って、
浴衣を着て、部屋を出ようとしたそうなんですが、
どうやってもドアが開かなかったそうなんです。

その間も
電話は何度も何度も鳴り続け・・・・

「いやぁ〜 助けて!!」

中村さんは、
部屋に備付の電話で、フロントに助けを求めようと思い、
デジタルフォンの受話器を取ったそうなんです。

「なぁ〜んだ・・・いるんじゃないの・・・私よ・・私・・」・・と女性の声が

2人は恐怖のあまり声も出ず、ただひたすら抱き合ったそうです。

そして・・・、
気がついたら、朝になっていて、MoMoが目の前に・・・・・

・・・・

話を聞いた後、
床の間の横の押入れを開けてみましたが、
そこには、黒電話などなく、座布団が積んであっただけでした。

あとで、仲居さんに聞いたんですが、
「もう随分、昔のことでしたので・・・・・」とだけ言って、
その他には、何一つ答えてはくれませんでした。
ただ、この部屋・・・、もう10年以上、開かずの間だったそうです。

PS.
結局、ホテル側は、この部屋の代金をチャラにしてくれた上に、
お土産まで下さいました、お2人とMoMoの3人分・・・・。