「角にいる」
神奈川県 I半島
○○園

一昨年の冬のMoMoの体験談です。

その日は雪のため、ホテル到着が遅れて大変だったんです。
宴会の時間変更から始まって、何だかんだとドタバタしていて、
「ほっ」・・・と一息ついたときには、11時をまわっていました。

「ふぅ〜・・・、お風呂入って、ビール飲んで寝よ。」

大浴場に行くと、
たまたま誰も入っていなくて、まるで貸しきり状態・・・。

「うわぁ〜貸しきりだぁ〜・・・うぅ〜ん・・・極楽極楽・・・」

たっぷりと極楽気分を味わって、一日の疲れを取って、
大浴場を出たのは、一時過ぎだったと思います。
鼻歌まじりに廊下を歩いていると・・・・・、
20才位のショートヘアーの女の子が前から歩いてきます。

「あのぉ〜、すみませぇ〜ん、大浴場はどこですか?」

「あっ、そこの角を右に曲がったとこですよ。」

こんな時間に、女の子が一人でお風呂に・・・・?
・・・と、少し違和感があったのですが、まさか無視もできないので、
大浴場の場所を教えてあげたんです。

「ありがとうございます」

「いいえ・・・・・・」

その女の子が、角を右に曲がるのを見届けた後、
私は、湯冷めする前に、早く部屋に戻ろうと、
反対側の廊下の角を曲がったときです

「あのぉ〜、すみませぇ〜ん、大浴場はどこですか?」

さっきのショートヘアーの女性が立っているんです。

「あのぉ〜・・・・、大浴場は・・・・?」

私は、彼女の脇を通り過ぎて、
一目散に自分の部屋に向かって走り出しました。

「よし、その角を曲がると、すぐ私の部屋だわ・・・」

そして、次の角を曲がると・・・・、

「あのぉ〜、すみませぇ〜ん、大浴場はどこですか?」

「ギャァー!!」

私は、思わずその場に座り込んでしまったんです。

「イヤァー!!」

次の瞬間・・・・・、彼女は消えていて・・・・・・・・・・

・・・・
この時以来、
MoMoは、このホテルに行ったことはありません。

もしかしたら、いまでもショートヘアーの彼女は、
廊下の角で、大浴場の場所を尋ねているのでしょうか。
「あのぉ〜、すみませぇ〜ん、大浴場はどこですか?」って