「何処かで・・・」

えぇ〜と・・・、何と申しますか、そこにはホテルが一軒しかないので、
キーワードだけでご勘弁を・・・・・キーワード ⇒ 「トロッコ」

今回の話は、
MoMoの子分の・・・あっ、いえ・・・後輩のO嶋君の体験談です。
 (うぅ〜ん・・・アルファベットにしても、そのままの名前なのね)

彼が、昨年の11月 (・・だったと思う)
その「トロッコ」がキーワードの某ホテルに泊まったときの事です。

ハンサムなくせに、とぉっ〜ても気の弱いO嶋君は、
その日も、お客様 (おば様方) の誘いを断れず、
宴会に同席し、二次会〜三次会と、散々連れまわされ、
やっと解放されたのは、夜中の2時頃だったそうです。

O嶋君が、ドッと疲れて部屋に戻ると、
誰かが、ドアをノックするんです。

「こんな時間に誰だろう? まっ、まさか幽霊・・・・・・?!」

「ど、ど、どなたですか・・・?」

「お疲れ様です。」
「僕も添乗で、左隣の部屋なんですけど、なんか寝付けなくて・・」
「もしよかったら、僕の部屋で軽く飲みませんか?、一緒に。」

O嶋君が、ドアを開けてみると、
自分と同じ年齢ぐらいの明るい感じの男性が立っていたそうです。

こんな遅くに・・・とも思ったらしいんですが、
色々と情報交換も出来るし、
「おば様方のお付き合い」の 『口直し』 もしたかったし、
何より、その男性に何処かで会った事のある様な親しみを感じたので、
「それも、いいですねぇ」・・・と、左隣の彼の部屋に入ったんです。

左隣のその部屋は、
O嶋君の部屋と同じ造りの乗務員部屋だったんですが、
暖房が入ってなくて、ヒヤァ〜とした部屋だったそうです。

「この部屋、エアコン、壊れてるんですか?」

「いや、すみません、僕、暖房が苦手で・・・・」

まっ、確かに、この部屋にある様な古いエアコンの暖房は、
足元は、風が来るだけで、かえって寒いもんなぁ・・・・・・と、
O嶋君は納得したそうです。 (注)MoMoなら納得しません。

O嶋君が、寒いので毛布を身体に巻き付けていると、

その男性は、缶ビールをO嶋君に手渡しながら、
「僕は、夢があるんですよ・・・」
・・・と、切り出すと、一方的に自分の将来の夢を話し始めたそうです。

妙な事に、その男性の話は、
まだ、自分が添乗員になる前の話のようだったそうです。

O嶋君は、
あ〜・・、酔っ払って、旅行会社に入社する前の話をしてるんだなぁ・・・
・・・と、彼の話をうなづきながら聞いていたそうです。
でも、同じ話を何度も何度も繰り返すので、
O嶋君は、なんだか眠たくなってきて、そのまま毛布に包まって、
寝てしまったそうです。

翌朝、O嶋君が目を覚ますと、そこは自分の部屋だったそうです。

「あ〜、彼が、わざわざ運んでくれたんだな」・・・と思い、
お礼を言うために、部屋を出たんです。

すると・・・なんと・・・、左隣には部屋が無かったそうです。
O嶋君の部屋は角部屋で、
その左隣には非常出口への扉以外には、何も無かったそうです。

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実は、このホテル、
若い(新米の)男性添乗員が、この部屋に泊まると
必ず、そういう体験をしているそうです。
うちの課の先輩にも経験者がいて、
「あの男性、何処かで会ってた様な気がする」・・・らしいんです。