「同じ部屋番号」
箱根 ホテルO

このホテル・・・、結構大きいホテルで、
それまでは、出るって噂はまったく無かったんです。
4カ月前のあの日まで・・・・・

その日、
いいえ、その晩、
深夜、2時前・・・
私は、携帯電話のベルで目を覚ましたんです。
緊急連絡などが必要なときのため、
業務用の携帯番号は、幹事さんにお知らせしてるんです。

「はっ、はい・・・」

「MoMoちゃん、
Kさんの部屋、出たんだよ、あれが・・・」

「えっ・・・、あれって・・・、ゆ・う・れ・い・・・・ですか??」

「そうらしいんだ、部屋変えたげてよ。」

私は、早速、フロントに電話・・
でも、様子がおかしいんです。
私が、まだ何も言ってないのに、
「お部屋の変更ですね、後ほど連絡しますので・・・・」って。

「は、はぁ〜ん、これは何かあるな」と思って、フロントに行ってみると、
既に他のツアーの添乗員やお客様等、10人以上の人が集まっていて
大騒ぎになってるんです。

「どうしたんですか、皆さん、こんな時間に」

「幽霊が出たんだ」

「えっ、皆さんも」

よくよく話を聞いてみると、幽霊の出た部屋っていうのが、全部、同じ部屋番なんです。
2△3、3△3、4△3、5△3・・・、
そして、私のお客様の部屋、8△3・・。
(6〜7は宴会場です)

その時、フロントの電話がなったんです。

「はい、フロントです・・・・・・・」
電話にでたマネージャーの顔が、みるみる真っ青になっていきます。
手も震えてて・・・。

「9△3にも幽霊が出たんですか?」

「えっ、えぇ・・・、しかし、あの部屋は今は・・・・・・・」

ホテル側の説明では、
実は10年前の今日、
9△3号室から女性の飛び降り自殺があったんだそうです。
深夜2時前に・・・。
しかも、
彼女は飛び降りる前にフロントに電話してたんです。
「今から、飛び降りて死にます」って。

その事件以降、9△3号室は開かずの部屋と、なっているそうなんです。

そして、ちょうど10年後のその日、その時間、
9△3号室から女性の電話・・・・・
「今から、飛び降りて死にます」